第5話 予期せぬ展開

 こうして、あらぬことか、テストをキッカケにほぼ毎日のように彼女は僕の家に来ては、長いして勉強するようになっていた。


 まさか、こんなことになるだなんて未だに信じられていない。


 時折、これが夢なんじゃないかと疑う日々を過ごしながら、夢でも良いかと思ったり何かしていると、気づけば一週間が経過していた。


「あの、啓太くん?」


「うん、美咲さんどうかした?」


「学校では話さないけど、またこうやって話せるようになって良かったなと思って······」


「僕もまたこうやって以前のように話せて嬉しいと思ってるよ、でも、美咲さんには友達も沢山いるんだし、学校で話さないのは仕方ないよ、それに、僕にも親友が出来たからね」


「親友って、山本孝太くんでしょ、いつも休み時間一緒にいるものね」


「うん、そうだよ、入学早々、僕が一人でいるのを見て声を掛けてきてくれたんだよ」


「ふーん、そうなんだ、でも、山本くんちょっと悪い噂があるんだけど、それって知らないの?」


 そう言われたけど、孝太の噂なんて知らないし、それにいつも一緒にいるけど悪い奴には見えないんだが······。


「う、噂について詳しく教えて貰えるかな?」


「良いよ、実は山本くん、中学の時に女の子に対して酷い虐めをして追い詰めたらしいの、それでその子が自殺しちゃって······」


「······ま、まさか」


「本当よ、だからクラスの皆は彼に近づかないでしょ!  それで、私も山本くんと一緒にいる啓介くんに声掛けずらくなっちゃったってわけ」


······な、なるほど······道理でいつも僕としか話さないし、他の人と話してるところも見掛けないわわけか、なんなら、僕に話しかけて来るクラスメイトもいないってことは、この噂は本当なのか?


「そ、そうなんだ、まだ信じられないけど··········教えてくれてありがとう」


「良いよ、別に!  そんなの大したことじゃないから、でもね、啓介くんもクラスの皆から距離置かれてるのは事実なんだからね」


「わ、分かってるよ!」


 だからってどうすりゃ良いんだよ。


「また明日ね、啓介くん」


「うん、また明日」


 どうやら、彼女は明日も僕の家に来るらしい。



次の日、僕は休み時間いつも通り孝太と過ごしていたが、やっぱり気にはなるので聞いてみることにした。


「あのさ、孝太··········」


「どうかしたか?」


「そ、その噂についてなんだけど」


「噂?  あぁ、あれか、僕の噂のことだろ」


「う、うん」


「お前は信じてるのか?」


「わかんない、噂ってだけで、直接孝太から聞いてないからね。  もし、やってないと言うなら信じる、だって親友だろ」


「そうか、ならちゃんと話す事にするよ、あれは事故だったんだよ」


 事故だと話す孝太の表情は沈んでいる。


「本当は、僕のグループのメンバーが虐めてたんだよ、僕は庇おうとして彼女の護衛りするようになったんだけど、もう彼女は限界に来ていて·····ある日また嫌なことをされた彼女が学校終わってすぐ走り去っるように帰っていったんだけど、近くにある池で足を滑らしたらしくて··········だから、助けてあげられなかった」


 話終わると、孝太は涙目になっていて、悔しさが滲んでいた。


「それは辛かったね」


 僕は話を聞いてやることしか出来なかったが、話を聞最後まで聞くと、孝太と同じ気持ちになっていたらしい。


「うん、彼女と良く一緒にいたからだろうね、気づいたら僕一人だけが悪者になってたんだ」


「酷い!  酷すぎる」


 僕は握り拳を作っていた。






 








 

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