第4話 やり直しの日

 僕は誰にも信じてもらえないだろうが、告白に失敗し、ごめんとメールを貰った日の夜、妖精と出会ってしまった。


 しかも、妖精は振られた僕に、もう一度チャンスをくれると言うではないか、信じられなかったけど、お願いしてみたら、僕は次の日の朝過去にリバースしていたってわけなんだけど、一体今日は何日なんだろうか······。


 先程妹が部屋に来たが、うっかり聞くのを忘れてしまったので分からずにいる。


 スマホ······スマホが何処かに······。


 ベットから出て立ち上がろうとしたら、足で固いものを踏んだ衝撃があり、確認するとスマホだった。


······良かった、これで日付が分かるぞ!


 スマホ画面を指で上下にスライドして開くと、メッセージが届いているのが確認できた。


 こ、これは······確かあの日と同じ!?


 確認すると、親友の山本孝太からで、あの時と同じように「今日は具合悪いから学校休む」って連絡だった。


 ということは、孝太が休んだのはこの日だけだったから、今日が七月一日だと画面で日付を見なくても分かる。


 「了解、お大事に!」


 前回と同様、そう返事を送ると、学校に行く準備にと取り掛かる。


 どうやら、過去にリバースしたが、全く同じ出来事が繰り返されることになるらしい、ということは、今日はテストもあるってわけだ······。


 案の定、学校に行くと一時間目からテストだった。


 しかし、前回赤点を取って再テスト受けることになった僕は、何度も再テストのお陰で、その時に暗記していた記憶が残っていたこともあり、まさかの満点を取ってしまう展開に······。


 午後に返されたテストで、僕は一躍クラスの人気者とでもいうのだろうか、以前とは違う僕になっていた。


「お、おめでとう!  百点取るなんてすごいね」


 放課後、普段話さなくなっていた美咲が声を掛けてきてくれた。


「うん、正直僕自身が驚いてる」


「何それ······勉強頑張ったんだね!  今度教えてくれない?」


「僕なんかで良ければ、いつでもいいよ」


「ありがとう、じゃぁ、今日は家に行くね」


 思ってたのと違い、色々と展開が早すぎて、頭が追いつかないでいる。


 まさか、話し掛けられたと思ったらもう家に来る展開になるだなんて!


 元々、中学の時は行き来していたからこれが初めての出来でも無いのに、何故かものすごく緊張が増していた。


 放課後、彼女は友達と帰ったので一緒に帰ることは無かったけど、僕は帰り道でも緊張が遅い、バスの中で、孝太に具合悪いんじゃないかと心配されてしまう展開に。


「本当に大丈夫か?  なんか顔色悪いぞ!」


「う、うん、大丈夫だよ」


「なら良いけど、あんま無理すんなよな、顔色悪そうだから気になるんだよ、家帰ったらちゃんと休めよな」


「うん、心配してくれてありがとう」


 学校近くのバス停からバスに乗り、二個目のバス停で孝太が降りるので、早々にさよならすると僕はここからさらに15分バスに揺られて帰宅する。


帰ると、遅くまで仕事の両親は案の定まだ家には居なくて、部活で帰りが遅い中学生の妹もまだ帰宅して居ない。


 ということは、今日は彼女と二人きりになれるチャンスである。


 けしていやらしいこと妄想した訳じゃないが、久しぶりということもあってか、健全な男子がソワソワするのは仕方ないだろう。


――ピンポン!


 チャイムがなって彼女がやってきたので、玄関のドアを開ける。


「こんにちは」


「こ、こんにちは」


 久しぶりに僕の家で会う彼女は、制服から私服に着替えていて、それも、胸元が広く開いた服を着ているせいで、僕が下を見るだけで彼女の胸が、お、おっぱいが見えそうだった。


「どうかした?」


「あっ、いや、その······なんでもないと言いますか······」


「ちょっと、啓太くん見ないでよね!」


慌てながら胸元を隠そうと必死になったので、僕の部屋にあるパーカーを貸してやる。


「あ、ありがとう······」


「全く、男の家ここに来るなら、服装くらい気をつけろよな」


「ごめん、急いでたから、つい······」


彼女は頬を赤らめ、反省している様子だった。


「あの、このパーカー着たまま帰っても大丈夫かな」


「良いよ、貸してあげる」


「ありがとう、あのさ、また明日も来てよい?」


「えっ」


「明日も時間大丈夫なら、勉強見て欲しい······」


「うん、良いよ!」


「良かった、次は合格するように頑張るね」










 














 



 


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