第5話 後日談

 年は明け、5年ぶりに私は実家のインターホンを押した。


「……お、お帰りなさい」

「ただいま──」

 母は、始め驚いた様子だったが、喜んで向かい入れてくれた。


 

「それにしても、なんで急に?今まで全く連絡くれなかったのに」

 5年間も連絡がなかった娘が帰ってきたのだ。当たり前の質問だろう。


「クリスマスの日にね、素敵な男の子と会ったの」


 そう、あの少年がいなかったら、私はここに居ない。


「そう、良かったわね」

 母は、なにかを悟ってくれたのだろう。どこか納得した様子で、はなしを聞いてくれた。


「うん」


 そう答えた私のバックの中では、少年がくれたあのマフラーが綺麗に収納されていた。



〖終〗

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白い粉雪にありがとう 十六夜 水明 @chinoki

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