終わりに
それが、約十年程前に私が実際に体験した出来事である。
さて、本文にておじさんから逃げた私が言っても説得力が無いと思われるかもしれないが、改めて言わせていただきたい。同性愛者やマイノリティーな性的指向思考を抱きながらも他人を愛する人を、私はとても立派だと思う。思う……思うのだけれど、こうも言いたい。「誘い方をどうにかしてよ!」と。
自意識過剰かもしれないし、そんなことを言うのはもしかしたら贅沢なのかもしれないが、出会ってちょっと世間話をして間も無く早々に「やらないか?」と言われるのは、正直かなり怖い。いや、だからと言って、まずはお友達からと誘われて、徐々に距離を詰めて行こうと言われたところで、当時の私が、というか今でも受け入れられるのかと問われたなら、正直あまり自信が無いのだが……。
結局私は何が言いたかったのだろう。体験した当時は恐怖でしかなかった話も、今思い返して、文字に書き起こしてみたなら何か思うことがあるだろうかと思ってはみたが、いざ形になってみれば、“あやふや”という他無い話になってしまったようにも見える。
しかし、私はなんと中途半端なのだろう。口では何もかも受け入れると言いながら、実際には逃げ出したという、どっちつかずの半端者と思われても仕方がない。ただ、ありふれたように聞こえるかもしれないが、半端者ならば半端者のまま、私はこう話を締めくくらせてもらおうと思う。
百人いたなら、百通りの愛がある。ただそれらを知るには、当時の私は若すぎた。そして十年の歳月を経た今も、私は若いままなのだろうと。
白いバラのつぼみに花言葉を 黒ーん @kulone
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます