第16話

『校庭でなら広くてやりやすいでしょう』

『ルールを説明します。

ラミアさんは悠さんを戦闘不能状態にすること。

殺すのは無しです。

京夜くんはえーとあなた名前は?』

『ペーターとでも呼んでおけ』

『分かりました。

京夜くんはペーターを殺してください。

しかし学校を壊さないでくださいね。

壊したらしっかり請求しますから

それでは始めてください』


『さてとどうしたものかの〜?

これではすぐに終わってしまうの〜?』

悠はその場に立ったまま動かなかった。

『おーい

悠に命令を出してくれぬかー

これでは全然動かないから面白くないぞー』

『あ?……面倒だなー!おい!女!ラミア殺せ!』

『はい……ご主人様』

そうすると悠は銀のナイフを持って

戦闘体制に入った。

『なるほど……殺す気は満々じゃな』

次の瞬間悠は凄まじい勢いで突進してきた。

『殺す』

しかしナイフは空を切っていた。

『まったく……危ないぞ!』

工藤さんの攻撃を避けて、

ラミアは悠の腹に蹴りを入れ、

工藤さんは10メートルくらい吹っ飛んだ。

『終わったかの?』

しかし工藤さんは表情一つ変えず立ち上がった。

『殺さないってのは難しいではないか……

手加減し過ぎたかの?』

『……死ね』

しかしまたナイフが空を切った。

そこから連続で工藤さんがナイフを振っても

ラミアには当たらなかった。

『あのラミアが防戦一方だ!これなら殺せるぞ!』

ペーターがそんなことを話しながら

観戦しているが、腑に落ちない点がある。

『なぁペーター?さんあんたの目的はなんだ?』

『あ?目的?どうせ死ぬんだし、

冥土の土産に教えてやろう。

身体能力の高い人間を使って

大量の人間を殺したかっただけだ。

まぁ高い身体能力があっても戦闘ができない奴は

全員自殺してもらうつもりだがな』

『それならお前がやった方が早いだろ』

『俺がやったら意味ないだろ』

『お前吸血鬼なのに人間より弱いのか?』

『ガキが……そんなわけないだろ!

手駒が大量に必要なんだよ!』

『ま〜どうでもいいですが、

やるのならさっさと終わらせましょうよ』


俺とペーターは向き合い戦闘体制にはいる。


『そう言えば俺喧嘩とか

あんまりやってこなかったな。

さて俺は生き残れるのか?』

俺が独り言を話していると

『では行くぞ』

その言葉と同時にペーターは

俺との間合いを詰めてきたが、

しかし攻撃をするのではなく質問してきた。

『お前は人間か?それとも……』

『どこからどう見てもか弱い人間です』

『なら、なぜあの2人といる』

『ラミアは居候で

たまたま今日校長が家に来たんですよ。

成り行きで一緒に行動しています』

『嘘だな……』

『あれ?バレましたか?』

『それにその演技のような喋り方気に入らないな

先程のように普通に話せ』

そう言うとペーターは俺を睨んできた。

『悪かったよ。人見知りなもので』

『とりあえず死ね』

そうしてペーターは銀のナイフを取り出し、

俺を刺しにきたが、それは外れた。

『あの距離で避けるか……ならこれならどうだ?』

次の瞬間ペーターは高速で動き回った。

『これは驚いた。

本気を出せばここまで速くなるのか』

『何感心してんだ!』

『……集中』

俺は目を閉じた。別に諦めたわけではない。

『なんだ?神にでも祈っているのか?

残念だがもうお前は終わっている!

この攻撃を避けられた奴はこの世に存在しない!』

『右……次は後ろ……前……右……左……』

『何をぶつぶつ言ってやがる!そろそろ死ね!』

そうしてペーターは俺を目がけて突進してくる。

『後!』

そして俺はペーターの攻撃を避けた。

『まだ慣れないな〜集中しないと読みきれない』

『なぜだ!なぜ避けられた!

あんなのわかっていないと無理なはずだ!』

『それは企業秘密だ!』

『次はないぞ!まぐれは2回も続かない!』

そして再度ペーターは

高速で動き回り攻撃を始めた。

『右』

『上』

『前』

『左』

『後ろ』

しかし俺は全て避けた。

『お前……血胤契約しているな……

能力は気配察知と言ったところか?』

『さぁ?どうだろうね』

『まぁいい血胤なら契約を厳守できない環境にしたらお前を殺せるってことだ』

『確かに殺せるな。

しかし契約内容は教えられない』

『殺したら勝ちなんだ!

方法なんていくらでもある!』

『分かっているとは思うがお前の攻撃は

俺には当たらないし、

契約内容についても言えない』

『分かっている』

『なら、どうする?』

『こちらの気配を消す』

そうするとペーターはポケットから何かを取り出し地面に叩きつけた。

『これは煙幕か?……集中』

『分かるか?分からないだろ!気配を消すのは得意なものでね』

『……いない……本当に気配を消したのか……

なら一か八か試してことないけどやる!』

この能力は気配を察知ことに集中させれば、

相手の場所、動作を目を閉じていてもわかる。

しかしそれを五感の一部に集中させると

それぞれの感覚が通常以上に引き出せる。

『うまく行ってくれ……聴覚増強……』

ザッザッザッ

『聞こえた……でもだいぶ離れているな……

とりあえず向かうか』

そうして、俺は足音がする方へ行った。

『このままここから逃げて、

殺せる機会を見計らう』

『こいつ……逃げる気のかよ……』

そして俺は影の中に入り、

ペーターの近くの影まで移動した。

『どうも〜逃げれると思った?』

俺はペーターの後ろから出てきて声をかけると

『うぎゃーーーーー!』と大きく叫んだ。

同時に激しい耳鳴りが起き、

その後意識がなくなった。

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俺は人間に戻りたい @hiro1913

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