第15話

『今日のお昼ラミアさんと喧嘩したらしいですね』

『はい……』

『やったことからしたら停学などの

重い処罰の対象となりますが、

状況が変わってしまいましたから

処分は無しにします』

校長先生は一呼吸置いてこう聞いてきた。

『悠さんは、

ラミアさんをどう思っていますか?』

『ラミアさんですか?そうですね……』

私は少しだけ考えてこう答えた。

『ラミアさんは世間知らずで、

少し喧嘩っ早いですが……』

『ですが?』

『人を心配できる

根はとても優しい子だと思ってます』

私は少し恥ずかしいがりながらもそう答えた。

『そうですか。

ならば死ぬまでラミアさんの友人でいてください』

『それは良いですが、

鬼竜くんからも同じことを言われました。

何故か2人ともラミアさんと

友達にさせようとしてます。

なぜですか?』

『京夜くんも同じ考えだと思います。

このままだとラミアさんは学生生活を

彼だけと過ごすことになってしまいます。

それはあまりに寂しいと思います』

その様な会話をしながら歩いていると目の前から

白衣を着て、少し痩せている男が歩いているのが

見え、お互いに帰宅中なのだろう、

そんなことを考えながら歩いていると

すれ違う瞬間その白衣の男が何かを落とし、

それを拾おうとした時

『その女を殺せ』そう言われた瞬間、

私の意識は無くなった。


『悠さんお家までそろそろですね』

そう声先生は声をかけたが私は

立ち止まって俯いていた。

『悠さん?どうかしましたか?』

しかし返答もなく動くこともしなかった。

『疲れたのですか?もう仕方ありませんね〜』

そう言って先生近づくと

凄まじい勢いで私は先生接近して、

その手で心臓を貫いた。

そして先生は力なく倒れた。


『色んな人間で試してきたけど、

この女だけは凄まじい身体能力を持っていた。

しかし……ここまでやるとはな。

他の人間は殺さずに残しておけばよかったな』

白衣の男が嬉しそうに話していた。

『なるほど、あなたでしたか……』

『あ?誰だ?』

『先程心臓を潰された人と

言えばいいでしょうか?』

『は?何言ってんだ?』

男は焦りながらそう答えた。

『あら?分かりませんでしたか?

あなたも吸血鬼なら知っていますよね?

心臓を潰した程度じゃ

私たち吸血鬼は死なないって』

『くっそが!おい!

これでこいつの心臓を刺せ!』

『はい……』

そうしてその男は私に銀のナイフを渡した。

『あら、あなたご自身でやらないのですか?』

『これは実験なんだよ!いいからさっさとやれ!』

『そうですか。

それば残念……もう少しお話ししたかったのに』

その言葉が聞こえると同時に目の前に

同じ背格好の女が現れ、

俺の眷属の腕を掴んでいた。

『は?なんで吸血契約した眷属を

腕一本で止められるんだよ!

お、お前も吸血契約した吸血鬼だってのかよ!

だ、誰だー!近くにいるんだろ!

出てこい!卑怯者がー!』

『少し勘違いされていらっしゃる様なので

お答えします。

私はただの吸血鬼です。

吸血契約なんて汚らしい契約などしておりませよ』

『は?』

男は青ざめながらそんな素っ頓狂な声を出した。

『私早く起きてください。

これはあなたの仕事です』

『分かりました。私変わります。』

そうして倒れているはずのカミラが立ち上がり、

もう一人のカミラと合わさり一つとなった。

『悠さんごめんなさい。少し寝ててもらいますね』

そう言って首に手刀を当て私は気絶した。

『それでは少しお話ししましょう』


『お前みたいな化け物と話すことなどない』

『レディに対して化け物とは失礼な人ですね』

『吸血契約した眷属を腕一本で止めて、

一撃で気絶させる奴がレディな訳あるかよ』

『そうですか。どちらにしろおそらく彼女達が

まもなく着く頃でしょう』

『彼女達?』

『そうです。

これからあなたには彼女達と戦ってもらいます』

そう話していると影の中から

ラミアさんと京夜くんが

飛び出てきた。


『なんじゃ?まだ着いておらんかったのか?』

『お、お前ラミアか?』

犯人らしい男がそう聞くが

無視をしてラミアと校長が会話を続けた。

『ちょっと早く犯人さんと会ってしまったので、

待ってました』

『待ってたって……よく逃げられなかったですね』

『そうじゃろうな。

カミラから逃げること自体無理じゃ』

『せ、1000年以上前に生きていた

伝説の吸血鬼と同じ名前……

どう考えてもおかしいだろ!

吸血鬼にしては長寿すぎる!

死んでいてもおかしくない!

デマを言うんじゃない!』

『さっきからうるさいの〜誰じゃ貴様は?』

『誰……だと……』

『そうじゃお主のことなんぞ知らぬわ』

『100年前に理由もなく、

お前にボコボコにされたと言えばわかるか?』

『そんなの多すぎてわからぬし、

名前なんぞ聞いておらん。

それはそうとお主1000年生きておるのか?』

そうラミアが聞くと校長はその場くるっと回り

『どう?若く見えるでしょ?』

『そりゃそうじゃろ。

吸血鬼はある時を境に老いなくなるんじゃからな』

『マジかよ……お前が幼すぎるのは

その時が幼少期に起きたからか……』

俺がラミアにそんなことを言うと

『京夜よ……

お主はデリカシーと言うものが無さすぎるぞ…

私は速くなったのではなくて、

普通に成長が遅かっただけだ。

老いなくなったのは23くらいの時だ』

『さて、おしゃべりはこのくらいにしておいて、

これからやることを伝えます』

『やること?なんじゃ?』

『簡単です。ラミアさんは悠さんと

京夜くんはそれと戦ってもらいます。

場所は……そうですね。学校にしましょう』

『なぜ悠とやるんじゃ?』

『彼女今それの眷属なんですよ。

私が相手だと練習にならないと思いまして、

悠さんとちょうどいいくらいではないですか?

それに朝に行った練習です』

『こいつと?分かりましたよやりますよ』

そうして俺たちは走って学校へ向かった。

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