第14話

『悠さんはここ最近で不審な人物との

接触はないとの事なので、

恐らく睡眠中にやられた可能性があります』

と校長がそのような憶測を話した。

『確かに蚊に刺されるくらいの痛さだから

気付かないと思うが、

流石に人が触れているんだから

違和感くらいはあったんじゃないですか?

それにどうやって家の中に入るんですか?』

『私基本的に何されても起きなくて、

両親にも心配されています…危なっかしいと…』

『でも流石に戸締りとかしてると思うから

そもそも侵入はどうするんだよ』

『吸血鬼は基本的に影と影の間を移動することが

できから、鍵を掛けても意味はないぞ』

そう言いながらラミアは自分の影に入り、

俺の後ろから出てきた。

『実演どうもありがとう。

これで初めて会った時、

鍵が掛かっている家の中にいたのか理解できたよ』

『何を勘違いしておる?

お主を家まで送ったのは私じゃ。

それに鍵ならポケットの中に入っておったわ』

『話がずれてきてますね。戻しましょう』

校長がそう言って話を元に戻した。

『残るのは契約者とその目的ですね』

『そうじゃなー昼間のアレを見る感じ、

私に対しての敵対心あった事を考えると、

私に対して復讐をしようとしてるのではないの?』

『ラミアさん昔何をやったの?』

『ざっと1000人くらいのムカついた吸血鬼を

ボコしておったそこから数えるのを辞めた。

顔も名前も覚えてないからの』

『な、なるほど…』

『ラミアの件は置いて…目的だよな』

『今日の昼にあったやつだろうな。

私に対してのいじめをして

精神的に追いつめようとしていたのかもしれぬ』

『でもすぐに収束したよな?』

『契約者自身が未熟だったか、

それとも本気ではなかったか、

寝ている時に命令をしたか

どちらにせよ契約者自身を殺す以外

元に戻す方法はないの』

『契約者を殺せば解除できるのか?!』

『なんじゃ聞いておらんかったのか?』

『聞いてねーよそんな大事な事!』

『あ、あれ言っておらんかったっけ?

と、とりあえず、悠の主を探したほうが

目的を聞けるし、はやく片付く』

こいつ逃げやがったな。これは明日ギリギリまで

血を飲ませない様にしよう。

『まずどうやって命令するんだ?』

『簡単です。直接は会って言います』

『それだけですか?』

『まー寝ていても効果あるが、起きているより

効果は薄いからすぐに自我は戻せるぞ』

『なるほどだから学校ではすぐに

元通りになったのか』

『つまり相手は女子高生が寝てる時に

部屋に忍び込む変態なので、

悠さんのお部屋に入ったら犯人を捕まえましょう』

『そう言う事ですか』

『なるほど…でもそれ私危険じゃないですか?』

『大丈夫じゃ!

私にカミラ、京夜がいる何もさせぬ』

『となればまずは、

俺が影を移動できる様にならないとか』

そう言った瞬間何故か空気が凍った。

正確には殺気と嫌悪が入り混じった空気になった。

『皆さんどうなさったのですか?

可愛いお顔が台無しですよ?』

『京夜よ……お主は理解できておらぬのか?

影を移動できる様になることは

難しくはないからすぐにでもできるじゃろ。

そしてできる様になったらどうするのじゃ?』

『そりゃ〜俺もラミアや先生と

一緒に俺も工藤さんの部屋に入って、

その吸血鬼を捕まえる』

『お主と同年代の女が寝ている部屋に

入れるわけにはいかぬな』

『なんでだよ!お前にだけは言われたくないわ!』

『京夜くんそれ以上言うなら、

退学……いや殺しますよ?』

『鬼竜くん……流石にそれは引く……』

『そ、そんな……

俺はただ役に立ちたかっただけなのに……』

『お主の役割ならあるぞ?』

『なんかあるのか?』

『お主のその気配を敏感に感じられる能力で、

周りを監視してくれぬか?』

『それなら容易いけど』

『ちなみに京夜くん

どれくらいの範囲できますか?』

『大体10メートルくらいです』

『以外と狭いですね』

と工藤さんを抜いた3人で話していると

『ラミアさんなんの話?』と

工藤さんがラミアに質問した。

『これは私と京夜が契約した事で獲得した

京夜固有の能力みたいなものの話じゃ』

『その能力とはなに……』

『気配を人よりも敏感に察知出来るだけじゃ。

正直戦闘向きではない』

『おい!人の能力を遠回しに弱いと

言わないでくれないか?

もしかしたら戦闘でも使えるかもしれないだろ』

そんな話をしていると校長が

『もうこんな時間ですね。』

と時計を見ると既に21時を回っていた。

『そろそろ帰らないと』

そう言って工藤さんは立ち上がった。

『それではお家まで送りましょう』

『ありがとうございます』

そうして校長と工藤さんの2人は帰宅して行った。


『様々な人間で実験はたくさんしたが

この女だけは格別だから残りには

死んでもらうとしようか。

あの女にはあれさえいれば勝てる』

そう笑いながら一人一人に命令を出す人物がいた。


『なぁーラミア影の移動ってどうやるんだ?』

『そうじゃったな。

まずは自分の影に入り込むイメージで、

自分の影を触れてみるのじゃ』

『何も起きないぞ?』

『そんなすぐ間にできたら奇跡じゃ、

と言うかそれはもはや天才じゃな』

とラミアがそんなことを話していると

俺の手が影の中に入った。

『あのー入っちゃいました』

『な、なんじゃと!私でも5時間はかかっぞ……』

『それで?この後は?』

『こ、今度は体まで入れてみるかの』

『なんだか怖いな……』

俺は影の中に足を入れた瞬間ものすごい勢いで

影の中に吸い込まれた。

『んーなんだここは?影の中か?場所的には

ちょうど俺が立っていた真下あたりか』

そうして上を見て歩いていると

ラミアの不可侵領域が見えてしまった。

しかし理解ができなくて、

少し思考が止まってしまった。

当たり前だ、ノーパンだったのだ。

『……』

『なんじゃー戻ってこれぬのかー』

ラミアが声をかけてくれてようやく我に戻った。

俺は下を向きながら

『戻り方を教えろーそうでないと戻れないだろー』

『仕方ないのーいま行くからそこでまっとれー』

『ちょっと待て!』そんな言葉も虚しく

ラミアは俺の頭の上から落ちてきた。

『お主……何故私の下にいるのだ?』

『むぐ…むぐむぐ…(早く…避けてくれ…)』

『ひゃ!……京夜……貴様は死にたいらしいな?』

そう言ってラミアは俺の上から避けて、

戦闘体制に入っていた。

『ちょっと待て、誤解だ!』

『ほほう?何が誤解なのか

教えて欲しいものじゃな』

これは不可侵領域のことを話したら

半殺しで済まないだろ…

『ちょっと歩いていてたまたま

お前の下に居たところで

お前が落ちてきたんだよ』

『たまたまね〜?』

『信じてないな?』

『信じてないの〜

お主ならば避けるのは可能だったはずじゃが?』

『それは……分かっていても流石に

あの距離で避けるのは無理だ』

『まーそういうことにしておこう』

た、助かった……

この事は墓まで持っていくことにしよう。

まー死ねないから実質永遠か……

『戻り方だが、少し飛べば戻れるぞ』

そうしてラミアはその場で

ジャンプして影の外に出て行った。

『案外簡単に戻れるんだな』

俺も続いてジャンプして外に出た。


その後何度か練習した後ラミアが

『では悠の家に向かうかの』

『そうだな。多分校長たちは

もう着いている頃だろう』

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