まさに朝の連ドラ小説! お江戸の空気感が素晴らしい。

実在した江戸時代の国学者であり医師である木居宣長。その弟子である「お優」が主人公のお話です。

まず驚いたのが、お江戸の空気感を余すところなく伝えてくる文体、情景描写。
丁寧な語り口でとても読みやすく、文字を追うことを楽しいと思わせてくれます。彼らの日常が穏やかな目線で見つめられ、物語が紡がれていくことが、とても心地良い。
一話が三百文字ほど、という形式が、またこの文体に合っています。一枚、また一枚と、その場面を楽しませてくれ、次へと捲る手が止まりません!

お優を始め、源氏物語を愛する町医者である木居先生、そのご子息である春庭さま。しっかり地に足をつけた登場人物たちが生き生きと描かれており、何故か読んでいるこちらの背筋が伸びるよう。お優の恋の行方が、とっても気になるところです。

この時代ならではの身分の差、ただ生きることの難しさなども感じさせてくれる歴史小説ですが、けっして堅苦しくはありません。ルビも丁寧に振ってくれていますので、馴染みのない漢字が並んでいても問題なく楽しむことができますよ!

お薦めします(^^)!

その他のおすすめレビュー

保紫 奏杜さんの他のおすすめレビュー253