あたら倜🌛物語 第䞀倜 💀僕たちの䞍思議な倏䌑み💀【短線小説】

虹うた🌈

あたら倜🌛物語 第䞀倜 僕たちの䞍思議な倏䌑み【短線】



 僕たちが、その女の子を芳察し始めお、もう䞀週間になりたす。



 「  おい、みさず抌すなっお」


 「ごめんっおカッチャン。だっおよく芋えないんだもん」


 「しッ二人共、静かにしろよもう盎ぐ始たる」



 僕たち䞉人は、くっ぀いちゃう䜍に䜓を重ねお、倧きな倧きな暫の朚の倪い倪い幹からそっず顔だけを芗かせたした。


 僕たちの芖線の先には、同い幎くらいの女の子がいたした。その子は、川の暪にある倧きな倧きな石の䞊に䞀人で腰掛けお、䞡足だけを氎に浞しおいたす。


 月の明かりだけが頌りの深い倜の森の䞭で、その子はゆっくりず流れおゆく月を、ただじっず芋぀めおいたす。リクに泚意されおから誰も䜕も話さなかったから、僕はずっず流れる氎のサラサラしたせせらぎに耳を柄たせおいたした。

 僕たちの目の前に流れる小さな川はね、今は倜だから暗くおよく芋えないのが残念なくらい、すごくすごく透き通っおいお、ずっおも綺麗なんだよ。


 でも、その子を芋おいるず、そんな川もかすんじゃう。


 だっお  


 月の明かりに照らされおいるその女の子は、息をするのを忘れちゃうくらい矎しかったから  



 い぀もみたいに、ゆっくりず女の子が茝き始めたした。それは眩しい光じゃなくお、䞉日月のお月様みたいな優しい光です。そしおゆっくりずゆっくりず癜い光から青い光ぞず色が倉わっおいっお、最埌には綺麗な緑の光の粒になっお、䞀斉に森ぞず広がっおいくんです。


 光の粒が広がった埌にはもう、女の子の姿はありたせん。


 僕は近付いおきたその光の䞀぀を、そっず手の平に乗せたした。手の平の䞊でゆっくりず明滅を繰り返すその光の欠片は、䞀匹のホタルでした。


 僕の手の平の䞊で、ホタルは頌りなく光ったり消えたり   たるで呌吞しおいるみたい。


 僕たちはその光の粒を、い぀たでも芋぀めおいたした。


 お互いに䜕も話さなかったけど、カッチャンもリクも、そしお僕も  



 僕たちは、あの女の子の幜霊に恋をしたんだず思う。






 幜霊を芋に行こうぜ。


 そう蚀いだしたのは、カッチャンだった。



「  ゆ、幜霊幜霊なんお、ほんずにいるの」


 僕が恐る恐る尋ねるず、カッチャンがニダリず笑った。


「䜕だよ。ビビっおるのかみさず」


 倏䌑みが始たっおから僕たち䞉人は、い぀もこの秘密基地に集たっおは冒険に぀いお話し合っおいたした。次の冒険はなかなか決たらなかったけど、カッチャンの話によるず近くの森に男の子の幜霊が出るんだっお。なんでも森の近くに䜏んでいる人達の間では有名な話みたいで、䜕人も芋た人がいるんだそうです。


「そ、そんなこず無いけど、幜霊なんかほんずにいるのかなっお  」


 僕が助けを求めるようにチラッず芖線を向けるず、リクが顔を匕き぀らせおいたす。リクは僕たち䞉人の䞭で、䞀番の怖がりなんです。


「ぞ、ぞぇヌ面癜そうじゃん。じゃあ次の冒険は、その幜霊探しに決たりだな」


 本圓は怖いくせに、リクはそう蚀っお匷がっおみせたす。


「じゃあ、二察䞀で決たりみさず、心配すんなっお䜕かあったら、俺が守っおやるからさ」


 真っ黒に日焌けしたカッチャンが、怖がる僕の肩を抱きながら癜い歯をみせたした。カッチャンは僕たち䞉人の䞭で䞀番背が小さいけれど、䞀番足が速くお、いざずいう時に本圓に頌りになるんだ。


 僕の背䞭に隠れるようにくっ぀いお、息を朜めおいるのがリク。リクはすごく背が倧きいんだけれど、気が小さいずころがあるの。でもその代わり、リクはすごく優しいし噚甚なんだ。


 それから僕は、みさずっおいいたす。僕には二人みたいに取り立おお話すような特技はないんだけれど、これから皆さんに、僕たちがある倏に出逢った䞍思議な女の子ずのお話をしおいこうず思いたす。





 僕たちが䞉人が、い぀も䞀緒にいるようになったのは四幎生の倏くらいだったから、もう䞀幎近くになりたす。その間、僕たちは䞉人で沢山冒険をしたした。それは虫獲りだったり、魚釣りだったり、秘密基地を䜜ったりなんかのワクワクする冒険

 僕たち䞉人はい぀も䞀緒に、今たで芋たこずが無かった景色を芋おきたんです。


 ずにかく䞉人でいるずすごく楜しくお、時間が過ぎるのなんおあっずいう間です。でも今回は、今たでで䞀番勇気がいりそうな冒険です。


「じゃあ早速、今倜決行な。倜になったら、ここに集合しようぜ」


「えヌ倜に行くの危なくない」


「幜霊を芋に行くんだから、倜に決たっおるじゃん。倧䞈倫だよ、みさず。俺、倧䜓の堎所は知っおるからさ。あの赀い橋のずころ  」


 ゎクン  


 僕はカッチャンからその堎所を聞いお、思わず唟を飲み蟌みたした。


「そ、それっお、あの森の䞭の、あの赀い橋のこず」


 隣を芋るず、もうリクは泣き出しそうになっおいたす。でも、それは仕方がないこずだず思う。だっおその堎所っお、森のずっずずっず奥にある昌間でもほずんど誰も近寄らない、倜になんか絶察に行きたくない堎所だったんです。


「  二人共、なにビビっおんだよもう䜕回も行ったこずある堎所だろあの堎所は、二人も気に入っおたじゃんか」


 確かにカッチャンの蚀う通り、僕たちはその堎所に䜕床も足を運んだこずがありたした。昌間のその堎所には綺麗な氎が流れおいる小川があっお、魚が沢山釣れる穎堎だったし、倧きな暫の朚にはカブトやクワガタが沢山いたした。䜕より空気も氎もずっおも柄んでいお、気持ちがいいんです。それに倧人も子䟛もほずんど来ないから、い぀も僕たちの貞し切りなのも気に入っおたした。だっお誰にも気兌ねしないで、僕たちだけで思いっきり遊べるでしょ


 でも、倜ずなるず  


「で、でも倜は真っ暗で、きっず䜕も芋えないず思うよ」


 僕がやんわりず反察意芋を蚀うず、隣りでリクがりンりンず倧きく頷きたした。


「だから今倜がいいんだ。今倜は満月なんだっお、きっず倜でも明るいさ」


 だけど僕の意芋は、あっさりずカッチャンに吊定されたした。きっずカッチャンは、明るい満月の倜になるのを埅っお僕たちにこの提案をしたんだず思う。だっお顔が、ニダニダしおるもん。僕たちが反察するのなんお、カッチャンには最初からお芋通しだったんだ。


 僕たち二人が䞍安で顔を芋合わせおいるず、カッチャンがそっぜを向きたした。


「二人が行かないなら、䞀人で行くからいいや。  お前ら、本圓に匱虫だからな」


 こうなるず、もうカッチャンは止たらないんです。


「が、僕たちも行くよねえリク」


「あ、あったりたえじゃんぜ、党然怖くなんおないしなあ、みさず」


 僕たちが慌おお賛成をするず、カッチャンはニカッず笑いたした。そしおその顔を芋た僕は、小さな溜息を぀きたす。 たた、カッチャンの䜜戊通りになっちゃった。


「よしじゃあ決たりだな」


 そう蚀うずカッチャンは、右腕を突き出したした。それは、僕たちの冒険の始たりを意味しおいたす。僕たちにずっお、これはミッションの成功を誓う倧切な儀匏なんです。僕ずリクは、カッチャンの腕に重ねるように、腕を亀差したした。


「じゃあ、今回の冒険の成功を祈っお」



『䞀人は䞉人のために䞉人は䞀人のために』



 こうしお僕たちは、あの満月の倜。あの䞍思議な女の子、ほたるちゃんず出逢ったんです。







「ほたるちゃんっおさ、やっぱり   幜霊、なのかな」


「分かんねぇ  」


「それずも、劖粟ずかさ。ホタルの  」


「劖粟   でも、そうかもしれないな」


 カッチャンずリクが、そんな䌚話をしながら前を歩いおいたす。僕は二人から少し遅れお歩きながら、䞀人で考えごずをしおいたした。


 僕たちは、あの女の子を、ほ・た・る・ち・ゃ・ん・お呌ぶこずにしたした。い぀もホタルに姿を倉えおしたうあの子には、ピッタリの名前でしょう


 僕たちがほたるちゃんの芳察を始めお、もう8日目。月明かりの䞋で、あの橋ぞず続く森の䞭の小道を䞉人で肩を䞊べお歩くのも、もう日課になり぀぀ありたす。もちろんただ倜の森は少し怖いけれど、この先にほたるちゃんがいるんだず思えば、僕らはぞっちゃらでした。


 それに倜の䞭の森は、ね。思っおいたより寂しくなんかなかったんだよ。

 

 虫たちの倧合唱や、動物たちの元気な息づかい。それに、たたに聞こえおくるりラルアりルの鳎き声だっお神秘的です。たるで森党䜓がね、パヌティヌでも開いおいるみたいに賑やかなんだ。


 僕たちは、そのパヌティヌに招埅されたお客様。すっかり倜の森に倢䞭なんです。

 ほら   今倜も、お月さたの光が僕らの足元を照らしおくれおいたす。


 そのパヌティヌの䞻圹は、もちろんほたるちゃん。


 最初にほたるちゃんを芋぀けた時、僕たちは本圓に驚いたんです。だっお男の子だっお聞いおいた幜霊はずっおもキレむな女の子だったし、䜓がゆっくり茝きだしたず思ったら急にホタルになっちゃうんだから  



「なあ、みさずはどう思う」


 道の先で、カッチャンずリクが足を止めお僕を埅っおいたした。だから僕は、ずっず考えおいたこずを、二人に話しおみるこずにしたした。


「ねえ、カッチャン、リク。   ちょっず盞談が、あるんだ」






 今日もほたるちゃんは、倧きな䞞い石の䞊に䞀人で腰を掛けおいたす。僕たちは頷き合うず、腕を亀差したした。䟋のミッション達成を誓う、倧切な儀匏です。それから䞀぀倧きな深呌吞しお、僕たちは䞀斉に暫の朚から飛び出したんです。



「こ、こんばんは」


 緊匵しお声が裏返っちゃったけど、第䞀声は蚀い出しっぺの僕。


 そうです。僕が二人にした盞談っお、思い切っおほたるちゃんに話し掛けるこずだったんです。だっおこのたた隠れお芳察しおいおも、䜕も分からないたただから  


 僕は、もっず知りたかったんです。

 

 ほたるちゃんはどんな声で話すのどんなこずで笑うのどんなこず、奜きなの


 だから  っ

 

 なんでもいいから、ほたるちゃんず話をしおみたいず思った。


 きっずカッチャンもリクも、僕ず同じ気持ちだったず思う。だから二人共、僕の提案に賛成しおくれたした。



「こ、今倜も、぀ 、月がきれいですね」


「も、も、も、もしよかったら、が、が、が、僕たちず䞀緒に芋たせんか」


 隣から聞こえたカッチャンの声も、リクの声も、思いっきり裏返っおた。僕たちは、口から飛び出しちゃうくらいに螊り出した心臓を必死に抑えながら、ほたるちゃんの返事を埅ちたす。


 急に話し掛けられたほたるちゃんは、最初は驚いた顔で僕たちを芋぀めおいたした。でもね。小さくコクリず頷いた埌で、こう蚀っおくれたんです。


「  うん、䞀緒に芋ようよ」




 僕たちは倧きな石の䞊に四人で䞊んで、お月さたを芋䞊げたした。最初は緊匵しお䞊手に話せなかったけれど、お月さたが芋守っおくれおいるお陰なのかなポツリポツリず、䌚話が生たれおいきたす。


 初めお聞くほたるちゃんの声は本圓に可愛くお、たるで遠くから聎こえおくる颚鈎の音色みたいな、少し涌し気な印象。今倜みたいな蒞し暑い真倏の倜に、ピッタリの声。


 僕たち四人は時間を忘れお、沢山話をしたした。お互いに奜きな食べ物の話をしたり、奜きなゲヌムや音楜に぀いお話したり   心配性な、お父さんやお母さんの話をしたり  


 ほたるちゃんはあたり自分のこずを話さなかったけれど、僕たちのずりずめもない話を䜕床も頷きながら、䞀生懞呜に聞いおくれたした。

 僕たちは調子に乗っお、がんやりず胞の䞭だけで抱いおいる将来叶えおみたい倢に぀いおも、圌女に話したりもしたした。

 䞭でもほたるちゃんが䞀番楜しそうに聞いくれたのが、今たで僕たち䞉人でしたきた冒険の話。その話を聞いおいる時のほたるちゃんは本圓に楜しそうに、黒い瞳をキラキラず茝かせおいたした。そこで僕たちは、䟋のミッション達成を誓う倧切な儀匏のこずを圌女に話すこずにしたんです。そしたらね。圌女が、私もやっおみたいっお蚀い出したんです。



「  こう」


「うんそのたたにしおいお」


 ほたるちゃん、カッチャン、僕、そしおリク。四人の腕が亀差するず、カッチャンが、声を䞊げたした。


「俺たちの冒険の成功を祈っお」


『䞀人は四人のために四人は䞀人のために』


 四人の声が合わさるず、䜕だかほたるちゃんず友達になれた気がしたした。僕は嬉しくっお、ちょっぎり照れ臭さい気持ち。


 それから僕たちは、この儀匏の続きに぀いお説明を続けたした。それはミッションが成功した時にするもう䞀぀の倧切な儀匏のこずです。たた同じこずをするんだけれど、二床目は「ミッション成功」の合図なんだ。


 その説明を、ほたるちゃんにしおいた時でした。突然、倜空がぱっず明るく光ったんです。


 それから少し遅れお、ドン  っ――お。


 驚いお空を芋䞊げた僕たちの目に飛び蟌んできたのは、倜の空に色鮮やかに広がる花火たち。



ドン    ドドン  


ドドドン    ドドドドン  



「   っ    っ」



 次々に䞊がる花火があたりにもキレむで、僕たちは蚀葉も出たせん。そんな僕たちに、花火の合間を芋蚈らう様に、ほたるちゃんが話し掛けおきたした。



「  お父さんずお母さんに、䌚いたい」


 

 その蚀葉を聞いた瞬間、僕の胞に鈍い痛みが走りたした。


 ゆっくりず倜空からほたるちゃんの顔に芖線を戻すず、花火を芋぀めるほたるちゃんが、すごく眩しそうに目を现めおいたす。気が付けば、カッチャンずリクもほたるちゃんを芋぀めおいたした。



「さっき話しおくれた、みんなの倢の話。   叶えたい」



 どんどんず䌑みなく䞊がり始めた花火の光が、赀く染めたり青く染めたり緑に染めたり   ほたるちゃんを暗闇に、カラフルに浮かび䞊がらせたす。僕たちが返事に困っお顔を芋合わせおいるず、ほたるちゃんが寂しそうな声でこう蚀いたした。



「もしそうだずしたら、ここに居ちゃ   ダメだよ」



 ド――――――――ン  



 䞀際倧きな花火が空気を震わせるず、蟺りには䜕の音も無くなりたした。




「     僕たち、垰り道が分からないんだ」


 気が付けば、僕は泣いおいたした。


 䜕で泣いたのか分からない。けれど、カッチャンもリクも僕も涙が溢れおきお止たらなかった。奜きな女の子の前で泣くのなんおカッコ悪いっお思ったけれど、どうしおも止たらなかったんだ。


 メ゜メ゜ず泣き続ける僕たちに、ほたるちゃんは右腕を差し出しお蚀いたした。


「垰り道、教えおあげる。   冒険の成功を祈っお」


僕たちは涙で顔をぐしょぐしょにしながら、お互いの右腕を亀差したした。


『䞀人は四人のために四人は䞀人のために』









 柊朚匥聖ひいらぎみさずが目を芚たすず、芋慣れた癜い倩井が芋えた。


 人工呌吞噚が立おる也いた音ず、れヌヒュヌず自分の喉から聞こえおくる嫌な息づかい。   自分はたた、発䜜を起こしたのだ。



 酞玠マスクを倖そうずしたが、自分の腕なのに鉛の様に重かった。



「  ッチャン。 ㇌  ク   」


 絞り出すように、匥聖は声を䞊げた。


 䜕床も䜕床も二人の名前を呌んだ。この声が二人に届くなら、もう二床ず喋れなくなっおもよかった。


「み、匥聖ど、どうしたの」


 慌おた様子の母に、肩を揺さぶられる。


「おかぁさ   カッ  チャンずリ  クは」


 匥聖の蚀葉に、母が目を芋開いた。


「  匥聖。あなた、䜕で二人が危険な状態だったっお知っおいるのでも倧䞈倫よ。二人共もう倧䞈倫だっお、さっき先生ず看護垫さんが話しおいたわ。   あなたこそ  本圓に危なくっお   お母さんもう   匥聖に、䌚えないかず思ったんだから   」


 この泣き腫らした母の顔を、もう䜕床自分は芋おきたこずだろう。自分はい぀も、父ず母に心配をかけおばかりだ。


 匥聖が高野倏柄たかのかすみず束山璃空た぀やたりくず出䌚ったのは、この病院だった。


 同郚屋になった䞉人が盎ぐに仲良くなったのは、同い幎だったし、同じ病気ず闘っおいる仲間同士なんだから圓然ずいえば圓然だ。蟛い闘病生掻も、二人がいたからここたで頑匵っお来れたのだ。


 匥聖は母に頌んで、ベットのリクラむニングを起こしおもらった。こうすれば、もしかしたら二人の顔を芋れるかもしれないず思ったからだ。


 䞊䜓がゆっくりず起き䞊がっおいくず、カッチャンもリクも匥聖の方に芖線を向けおいた。匥聖は震える右腕を䜕ずか持ち䞊げお、二人に芋せた。


 するず二人も負けじず、右腕を䞊げる。


 四人にずっおそれは、『ミッション成功』の合図だった。



 随分、長い間。倢をみおいた気がする。


   すごく楜しい、倢だった。


 その倢の䞭では僕たちは健康で、䞉人で沢山の冒険をしたんだ。


 そしお匥聖の胞の䞭には、もう䞀぀の想いがある。


 その倢の䞭で僕たちは、初めおの恋をした。




 ふず自分が䜕かを握りしめおいるこずに気が付いお、匥聖は手の平を開いた。


「あっ  」


 匥聖の手の平の䞭で䞀匹のホタルが、たるで話し掛けるように優しい光を攟っおいる。そしお暫く点滅した埌で、そのホタルは、ゆっくりず消えおいった。


 そのホタルの光は、匥聖に教えおくれた。


 あれが只の倢ではなく、絶察に絶察に忘れたくない、唯の想い出なのだず。









「  おい、みさず抌すなっお」


「ごめんっおカッチャン。だっおよく芋えないんだもん」


「しッ二人共、静かにしろよもう始めるぞ」


 そう蚀っおリクが、スマホの自撮り画面をタップした。僕達は䜓がくっ぀く䜍に䞉人で肩を䞊べお、思いっきりの笑顔を芋せたした。


 あれから䞃幎が経っお、僕達はすっかり元気になった。今ではそれぞれ元気に、普通の高校生掻っおや぀を満喫しおいたす。


 普段は別々の街に暮らしおいる僕達ですが、今でもたたにこうしお集たっおは、芪亀を深めおいたす。僕達は䞉人揃うず、必ずこうやっお動画を残しおいるんです。


 カッチャンは、倢だったプロ野球遞手を目指しお頑匵っおいたす。でも、もうそれはあながち倢ではなくお、プロのスカりトが泚目する皋にカッチャンは掻躍しおいたす。今はチヌムを率いるキャプテンずしお、甲子園出堎を果たすべく日々奮闘䞭。やっぱりカッチャンは、すごいよ



 リクは猛勉匷の末、難関の高専に合栌したした。それはリクの倢である、ロボットを䜜る゚ンゞニアになる為には必芁な道なんだ。たあでも  い぀かリクが、䞖界䞭があっず驚く凄いロボットを䜜っお、そのロボットが倧勢の人達に幞せを届けるこずになるっお、僕はもう知っおるけどね。


 そしお僕はずいうず、小説家になる倢を远いかけおいたす。倢はでっかく芥川賞や盎朚賞受賞䜜家はたたたノヌベル文孊賞も受賞しちゃう䜜家になるこず  なんお蚀いたいずころだけれど、今は高校生デビュヌを果たそうず、黙々ず執筆に勀しんでいたす。


 僕達䞉人が集たるず、やっぱり話の䞭心はほたるちゃんになる。あの倏の出来事は倢だったず蚀っおしたえばそうなのかもしれないけれど、䞍思議なのは、䞉人共に党く同じ倢を芋おいたこずです。


 だずするず、ほたるちゃんは本圓に存圚しおいお、僕達を導いおくれたっおこずになりたすよね


 幜霊 それずも蛍の劖粟    もしかしお、女神様だったりしお


 なんお色々ず考えたけれど、圌女が䞀䜓䜕者だったのか、僕達に答えは出せたせんでした。唯䞀぀蚀えるこずは、あの日の僕らは確かに友達で、その友達に僕達は恋をしたっおこず。


   そしお僕達は、きっずその初恋をただ匕きずっおいるんだず思いたす。



 でも、たさか  


 ずっずずっず蟿り着けなかったその答えに、突然蟿り着く日が来るなんお思いもしなかった。


 それは䞉人で久々に集たった、今日の垰り道のこずでした。電車に乗ろうず駅のホヌムたで来た僕達は、名残惜しさから長い間ベンチを枩めおいたした。この堎所から、それぞれ別の電車に揺られお別の街に垰らなくおはいけないからです。

   次い぀䌚えるのか分からないたた別れるのは、やっぱり蟛いですよね。


 そんな時、向かいのホヌムに電車が到着したした。盎ぐに発車した電車の埌には、数人の元乗客達が各々の目的地ぞず向かっおホヌムを歩いおゆきたす。その䞭の䞀人に、僕達は決しお忘れるこずの出来ない姿を芋぀けおしたったんです。


 僕達は蚀葉を芋倱ったたた、我先にず向かいのホヌムに向かっお階段を駆け䞊がりたした。だけど息を切らしお向かいのホヌムに蟿り着いおも、もう圌女の姿はありたせん。  さっきのは、幻だったんじゃないかず肩を萜ずしかけた時です。カッチャンが、倧きな声で叫びたした。


「おいあれ――っ」


 カッチャンが指さした先には、もう改札を出お倜の街ぞず消えおゆく圌女の埌ろ姿がありたした。


 僕達は必死に圌女の埌を远いかけたした。もしここで圌女を芋倱っおしたったら、もう二床ず逢えない気がしたから


「ハァハァハァハァ   どこ行ったどこ行ったんだよっ」


 カッチャンが隣で、荒い息を吐きたす。


「ハァハァハァわ、分かんないでも確かに、ほたるちゃんだったよ」


「ハァハァハァああ、間違いないほたるちゃんだった」


 僕ずリクの肩も、激しく揺れおいたした。ほたるちゃんを远いかけお僕達が蟿り着いたのは、ひっそりずした倜の公園でした。確かにこの公園に入っおいく姿を芋かけたのに、障害物の少ない芋通しの良い公園に、圌女の姿はもうありたせん。


 萜胆した僕達が肩を萜ずしおいるず、突然声を掛けられたんです。


「  私に、䜕か甚事ですか」


 声のした方に慌おお振り向くず、さっきたで誰もいなかった堎所に制服姿の圌女が立っおいたんです。



「      っ」


 僕達は、蚀葉を倱っおしたいたした。それは驚いたずかそんなんじゃなくお、目の前に䜇んでいる圌女の姿が、あたりにも矎し過ぎたからでした。

 䜕も蚀葉が出おこなくお口をパクパクさせおいるだけの僕達に、圌女が蚝し気な芖線を投げ掛けおきたす。



「   ほたる、ちゃん」


 

 僕の口からやっず出た蚀葉は、その䞀蚀だけでした。


「   ほたる」


 僕の蚀葉を聞いた圌女が、小銖を傟げおいたす。



 ひ、人違い    だった


 圌女のその様子を芋お、僕は血の気が匕いお行きたした。もし圌女がほたるちゃんじゃなかったずしたら、僕達のしたこずは完党なストヌカヌ行為です。


「ご、ごめん君が僕達の知り合いに凄く䌌おいお、もしかしたらず思っお远いかけたんだ。怖い思いをさせお、ホントにゎメン」


 急に倢から芚めたみたいに、僕の頭は冷静さを取り戻しおいきたした。それはカッチャンずリクも同じだったみたいで、二人も頻りに圌女に謝っおいたす。


   穎があったら入りたいっお蚀葉は、この時の為にある蚀葉だず思う。僕達は圌女に䜕床も謝るず、いそいそずその堎から立ち去ろうず螵を返したんです。そんな僕達の背䞭に、圌女からの声が届きたした。



「  あの、もしかしお皆さんは、あの森で䌚った人達ですか」


 その蚀葉に、僕の胞が倧きく動きたした。


「  じゃあ。ミッション、コンプリヌトですね」


 僕は、すぐに振り返るこずが出来たせんでした。考えおみれば圓然だったんです。ほたるちゃんお名前は僕達が勝手に付けた名前で、圌女が知っおいる筈がないんですから  


 やっず振り向くこずが出来た僕の目に飛び蟌んできたのは、右腕を䞊げおいる圌女の姿でした。それは僕達にずっお倧切な、『ミッション成功』の合図です。僕達は䞃幎越しに、やっず四人揃っお右腕を亀差するこずが出来たんです。



「元気に、なったんですね。   よかった。ずっず気になっおいたんです」


 僕達は公園のベンチに座りながら、䞃幎ぶりにゆっくり話しをしたした。


 その時に圌女が䜕者なのか、僕達は知るこずになりたす。圌女の名前は黒朚青葉さん。同じ県内の高校に通う、僕らず同じ高校二幎生だそうです。


 圌女は時々肉䜓を抜け出しおは、あの森に遊びに来おいたそうです。その時に僕達を偶然芋かけお、気になったみたい。ほんずに恥ずかしい話だけど、僕達がずっず隠れお芋おいたこずも、圌女は気付いおいたんだそうです。


 僕達がいなくなった埌も、圌女は䞀人であの森に遊びに行っおいたみたいですけど、最近はもう、行っおいないみたいですね。その理由は、埌で話したす。


 圌女ずは色々話したけれど、その䌚話の䞭で䞀番嬉しかったのは、圌女にずっおも僕達ずの出逢いは、特別だったおこず。


 圌女曰く、僕達は「初めお出来た、男の子の友達」だったそうです。恐くないず感じた初めおの男性が僕達で、初めお男の子ずあんなに沢山の話をしたんだっお。


 圌女にずっおもあの時間は、「䞍思議な倏䌑み」の䜓隓だったんです。


 だから僕達ずの別れは、凄く寂しかった思い出なんだっお圌女は蚀っおいたした。だから寂しい思い出があるあの森に、段々ず足が遠のいおいったそうです。



 別れ際に、圌女はこう蚀いたした。


「  あの時、話しおくれた皆さんの倢。叶いそうですか」


 僕達は顔を芋合わせおから、倧きく頷きたした。もちろん匷がりも倧いにあったんだけどね。


「そうですか。それは本圓に、よかったです。実は、私にも倢が出来たんです」


 その時に浮かべた圌女の衚情を芋お、僕達はたた顔を芋合わせたした。それは今たで芋せたこずが無い、衚情でしたから。  確かに圌女はあの時、自分の倢を語ろうずはしなかった。


「   その倢を、教えおくれる」


 僕が尋ねるず、圌女は嬉しそうにその倢に぀いお話しおくれたした。


 その話を聞いた僕達は、右腕を䞊げたす。


「  じゃあ、新しい冒険の成功を祈っお――」


「はいっそれぞれの倢を叶える、ミッションのスタヌトですね」


 最埌に圌女が腕を亀差するず、僕達は声を揃えお叫びたした。


『䞀人は四人のために四人は䞀人のために』





 遠ざかっおいく圌女の埌ろ姿を芋送りながら、誰かが小さく呟きたした。


「連絡先ずか   聞かなくおよかったのかな」


「ばか    倱恋したんだぞ、俺達」


 カッチャンが虚ろな目でベンチに腰を䞋ろしお、リクがゆっくりず銖を暪に振った。僕は二人の真ん䞭で、唇を噛みしめおいたした。



 そうなんです。圌女の話しおくれた倢が、僕達の初恋の終わりを告げおいたんです。僕達は䞉人揃っお、倧きな溜息を吐きたした。



「でもさ    よかったな、ほたるちゃん」


 カッチャンが僕の肩に、ポンっお手を眮きながらそう蚀いたした。


「ああ、ほたるちゃんにあんな顔させる奎っお、どんな奎なんだろうな」


 もう䞀぀の空いおいた肩に、リクも手を眮きたす。


 だから僕は倧きく頷いおから、笑顔でこう答えたした。


「  それは、わっかんないけどさ。

 僕達は僕達の倢の先で、ほたるちゃんを笑顔にするしかないんじゃない」


 

 カッチャンもリクも、匷がっお笑っおいたす。



 そんな僕達を、あの倜ず同じ少し欠けたお月様が優しく芋守っおいたした。




 

                               終





 🍀この物語を、ご病気やお怪我ず闘っおいる皆さたに捧げたす。🍀









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 ・「虹恋、オカルテット」  【連茉䞭♡】

 

 䜜品ぞのリンクhttps://kakuyomu.jp/works/16817330668484486685


 🌌あらすじ🌌


 劂月ナり、金森いずみ、黒朚玅葉、黒朚青葉の四人が奏でる青春ラブストヌリヌです。ほたるちゃんこず黒朚青葉ちゃんの、ツンデレっぷりを芋逃すなです。(笑)


 亀通事故で蚘憶を倱っおしたった高校二幎生の劂月ナりは、真っ癜な青春を過ごしおいた。しかしそんな日々の䞭で、ナりはある車怅子の少女ず出逢う。そしおその少女 金森いずみの玹介で知り合ったのが、「城西の魔女」こず黒朚玅葉ず、その効「氷雪の女神」こず黒朚青葉。

 蚘憶を取り戻す為に魔女ず女神の所属するオカルト研究郚に入郚するこずにしたナりだったが、圌を埅ち受けおいたのは想像もしおいなかったオカルトすぎる恋ず青春の日々だった。


 この物語は、2024幎7月28日珟圚も連茉䞭なのです(*^^)v


 珟圚は、第81話を公開䞭です💕


 毎週朚曜日ず日曜日のAM時30分に曎新しおいたすので、ぜひ立ち寄っおみおくださいね(^_-)-☆





 ・「初恋」  【完結枈】

 

 䜜品ぞのリンクhttps://kakuyomu.jp/works/16817330668508282055


💗あらすじ💗


 高校二幎生の金森いずみには、最近ずっず気にかかっおいる人がいる。それはクラスメむトの劂月ナりだ。圌に話しかけたくおもそれが出来ず、悶々ずした日々を過ごしおいたいずみだが、ある日孊校の近くのバス停で偶然圌の姿を芋かけたのだった。 

 その時いずみは、圌に話し掛けようず決意をする。


 この䞀話完結の短線小説は、只今連茉䞭の「虹恋、オカルテット」のサむドストヌリヌです。初めおの恋に戞惑う䞀人の女の子の心の内を綎った物語です。






・「 秘密」  【完結枈】


䜜品ぞのリンクhttps://kakuyomu.jp/works/16817330668508623128


⚔あらすじ💗


茪廻転生を題材にした物語です。

城西高校に通う高校二幎生の女の子、黒朚青葉には秘密がある。それは幜霊や劖怪、劖粟など、他人には芖えない存圚が芖えおいるこず。それから自分の䞭に棲み着いおいる、恐ろしい化物のこず。

  そしおもう䞀぀の秘密。それはい぀も倢の䞭で芖おいる、別の䞖界のこずだ。その剣ず魔法が支配する䞖界では、別の自分が生きおいた。


秘密だらけの女の子、黒朚青葉の心の内を描いた物語「  秘密」。 前䞖かもしれない異䞖界での蚘憶ず、恋心に揺れる四日間を通しお、青葉は䜕に気が぀くのでしょうか


【党䞃話】の䞭線小説。そしお只今連茉䞭の「虹恋、オカルテット」のサむドストヌリヌ。






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あたら倜🌛物語 第䞀倜 💀僕たちの䞍思議な倏䌑み💀【短線小説】 虹うた🌈 @hosino-sk567

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