下東良雄の真骨頂

 今と昔に関わらず、本文で描かれたような事件がたくさん起こっている。昔からあるにもかかわらず、いまだに事件になるほどあふれているのは、この事象が普遍的な問題を抱えているからだろう。

 どんなに手を尽くしても、このような事が根絶されることはないとはわかっていても、少しでも何かが変わればいいと切に願い、常に世に問い続ける。
 それが、下東良雄という作家だ。そしてわたしは、その思いに常に尊敬の念を抱いている。

 なぜ、兄が暴力をふるうのか。なぜ、親は娘を庇うことができないのか。家族とは何なのか。

 ひとりひとりが考えなければならないことだと思う。そして、その回答を見つけられた人たちが、少しでも愛のあふれる社会を築いていければいいと心から望む。

その他のおすすめレビュー

月森 乙@「弁当男子の白石くん」文芸社刊さんの他のおすすめレビュー764