季節の終わりに蝉が落ちながら弱々しく鳴く、よく知る光景の描写から始まり、それについての思索。私小説的な語り口の小説かと思いきや、だんだんと物語が「ものがたられて」いきます。恐らくはフィクション、だけど不思議と感じる、生命と死のリアリティ。じわりとした余韻の残る物語でした!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(414文字)
とても素敵なお話でした。美しく流れるような文章に、毎話不穏な空気感と裏腹の心地良い読後感。必死に地上に這いずり出た蝉がその目的を果たせずとも、何も遺せなかったわけではないと信じたいですね。