おまけ 小野雅斗の日記、最後の頁

二〇二五年二月一七日


 今日のページは真実を書き留めようと思う。


 母さんを殺めた親父を殺した。これが正しい。

 俺は母さんを殺していない。


 いつものメンバーといつものように悪戯をして先生に怒られて帰りが遅くなった結果、親父は母さんを包丁で滅多刺しにしていた。

 母さんの顔は生きた人間のものではないような苦悶の表情を浮かべ、硬直していた。


 返り血塗れの親父がこっちを振り向いて俺と目があったとき、俺の喉元には既に包丁が突き立てられているような錯覚に陥った。


 咄嗟に持っていた学生鞄を投げつけ、怯んだところで親父が落とした包丁を拾い上げ、脇腹を刺した。


 そうして俺は両親を失い、死刑となった。


 昨日は花見もできたし、あいつらにも会えた。思い残すことはなにもない。


 あとは、罪を受け入れて死ぬだけだ。

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