再会と満開の花見の話

 透夜との軋轢を解消した日の翌日。透夜と、永太、そして俺は、雅斗に呼び出されて、俺達の母校へ花見をしに来ていた。


 雅斗との約束花見は四年越しに果たされたのだ。


 明日、雅斗は死刑が執行される。永遠の別れが俺達の表情を曇らせていた。


 しかし、雅斗の表情は晴れやかで、長年の悩みが解決した人のようなスッキリした顔をしていた。


 そんな空気を察したのか、雅斗は懐かしい、いたずらっぽい笑みを見せながら、今じゃお前らより俺のほうが頭悪いんか、と以前の彼と変わらない口調で聞いてきた。

 その問いに答えたのは透夜だった。


「そうだろ、高校出たんだからな。永太は魚屋継いで、俺は東京の専門学校だ。あ、でも奏介はニートだけどな!」


 透夜が笑いながら言い放ったその言葉に心のなかではイラッとしつつも、俺はただのニートじゃない、運動のできるデブニートだ、と言ってやったら皆揃って大爆笑していた。


 そんな自虐や、懐かしい話に花を咲かせていたら、急に強い風が吹いて、桜の花びらを宙に舞わせた。


 突然雅斗が立ち上がり、じゃ帰るわ、と言ってその場を去った。


 永太が泣きそうな顔で下手な笑みを浮かべながら、またな、と呟いた。


 俺達は、また会えることを信じている。何年経とうと、俺達が会えない理由がどれだけあろうと。


 友情は必ずそこにある。

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