再会と満開の花見の話
透夜との軋轢を解消した日の翌日。透夜と、永太、そして俺は、雅斗に呼び出されて、俺達の母校へ花見をしに来ていた。
雅斗との
明日、雅斗は死刑が執行される。永遠の別れが俺達の表情を曇らせていた。
しかし、雅斗の表情は晴れやかで、長年の悩みが解決した人のようなスッキリした顔をしていた。
そんな空気を察したのか、雅斗は懐かしい、いたずらっぽい笑みを見せながら、今じゃお前らより俺のほうが頭悪いんか、と以前の彼と変わらない口調で聞いてきた。
その問いに答えたのは透夜だった。
「そうだろ、高校出たんだからな。永太は魚屋継いで、俺は東京の専門学校だ。あ、でも奏介はニートだけどな!」
透夜が笑いながら言い放ったその言葉に心のなかではイラッとしつつも、俺はただのニートじゃない、運動のできるデブニートだ、と言ってやったら皆揃って大爆笑していた。
そんな自虐や、懐かしい話に花を咲かせていたら、急に強い風が吹いて、桜の花びらを宙に舞わせた。
突然雅斗が立ち上がり、じゃ帰るわ、と言ってその場を去った。
永太が泣きそうな顔で下手な笑みを浮かべながら、またな、と呟いた。
俺達は、また会えることを信じている。何年経とうと、俺達が会えない理由がどれだけあろうと。
友情は必ずそこにある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます