仲直りの話
透夜が俺を訪ねてきた。謝りたいことがあるらしい。
……何で今更顔を出して謝るんだ。謝ることなんてないのに。現状は俺の自分勝手が招いた結果だ。仕方ないと言える。
透夜が部屋の前に来た足音がした。入ってくる気配はない。
ドア越しに話をするつもりか?
俺が訝しんでいると、透夜がドアの向こうから「おい、ニート。元気そうだな」と声がした。
やっぱり俺に謝りたいっていうのは建前か。煽りに来たんじゃないか。
俺は返事を返さない。透夜は続けて冗談のつもりなんだけどな、とつぶやいたと思えば、ドアが勢いよく開いた。
……は?
「僕は自分ルールで専門学校に行ったけど、雅斗との約束を破るつもりで行ったわけじゃない。だけどお前が僕を薄情者だって思ってるなら、謝らせてくれ。悪かった」
本当に謝られるとは思いもしなかった。俺はこいつの事を薄情者だと思っていたのか。そう言われたら自分の気持ちにも説明がつく。
俺はこんなに良い親友を嫌おうとしてた自分が許せなくなった。
「謝らないといけないのはこっちの方だ、透夜。俺はお前を裏切り者だと思ってたんだ。本当に、ごめん」
泣きながら謝る俺を透夜はいつかと同じような笑みで許してくれた。
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