第2話 封印の七聖剣
今、晴弥とアヴローラはとある交差点に来ていた。
「封印の七聖剣?」
「そう、妖精区の結界を守護する七匹の妖精、それがそう」
彼女いわく数千年にも渡ってその土地を人間の目から隠してきたらしい。妖精郷の最高戦力。
「そしてまず第一の聖剣の持ち主がいるのは此処、渋谷」
109の文字がデカデカと掲げられているのを見やりながら。交差点の真ん中にいる一人の巨漢に視線を移した。
「ねぇ、なんで――」
「待った。姫様、アンタはこう言いたいんだろ? 聖剣にイグニシアの『絶帯統治』は効かないはずだって。だからあんたの言葉の続きはこうだ『なんでイグニシアの味方をしているの?』そしてその答えはその方が面白そうだから、だ」
赤い髪の巨漢は巨大な大剣を地面に突き刺しながらそう宣言した。
「そうね、あんたはそういう奴よね、オーヴァーロード」
「如何にも、千年前も最先端を行き今もなお俺に追いつける者はいないそれがこのオーヴァーロード様だ。で? 姫様、その横の弱っちそうなのはなんだ? 兵卒でもなさそうだが」
「そうね……ハレルヤにぶつけたら面白そうな対戦カードだと思って」
「ははぁん、なるほどね。ハレルヤ様のチェンジリング」
「察しが良いわねホント」
「ああ、確かにそれは面白い対戦カードだ。だけどよお姫様、今、一番、面白い対戦カードは『俺対アンタ』だろう!!」
地面から大剣が引き抜かれると同時に世界が切り替わる。これは七聖剣の権能、その一端に過ぎない。
「聖剣行使!
それはもはや剣ではない、巨大な二つの砲塔だった。そこからものすごい勢いで炎が噴射される。だんだんと射線が迫って来る。晴弥はその射線と射線の丁度真ん中に一人でいた。
「!? アヴローラ!?」
彼女は空にいた。翅は飾りじゃないらしい。
「頑張りなさい、ここで負けてちゃ、この先思いやられるわ」
晴弥には五秒先を見る力しかない。というのにどうしろというのだ。未来に見えたのは燃やし尽くされる自分、ならば先に進め、一歩でも前へ。
未来は刻刻と切り替わる。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「来いやああああああああああああああああああああああああああ!!」
一歩、また一歩と加速する。未来視の世界の中へと進み変えていく。
もがれた翅でも飛べると、そう信じて。
「悲剣行使」
幻翅痛。
「招来逆行」
相手の背後に飛び込む。
五秒後の未来は無事、切り替わった。
背中から一太刀浴びたオーヴァーロードは一言。
「お見事……」
そう言って倒れた。
「はぁ……はぁ……俺、何を?」
「お見事、
「俺を試したのか?」
「ええ」
さらっとひどい事を言ってのけた。
こんなのが上に居て妖精区とやらは大丈夫なのだろうか。
大丈夫でないからこうなっているのか。
晴弥はそんな事を想いながら。
次の七聖剣の下へと連れていかれるのだった。
東京二十四区~チェンジリングの子供たち~ 亜未田久志 @abky-6102
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