エピローグ
最終話 どこまでも続くレッドファイッ!!
ロースのフルーツソースがけを完食した後、VRの中だっていうのにお腹いっぱいになった私達だった。
それからエリが《クリーチャーの革袋》とその中に入っている《湧き水》を差し入れてくれたので、それを一気飲み。
美味しいし渇いていた喉も潤ってたしで満足していたところ、
「狂拳先輩。あの、お願いがあるんだけど……」
「ん、どうしたのエリ?」
空になった革袋を返した時、エリが私にそう言ってきた。
少し考えるようにうつむいてから、やがて私と面向かう。
「ボクも先輩達と一緒にプレイしていい? 今は大した戦闘能力はないけど、先輩を見て地道に強くなっていくから。だから……」
「……だそうだよ。どうするコユミ?」
「どうするも何も、歓迎するに決まっているじゃないですか! エリちゃんのような可愛い子と一緒にプレイなんて、こちらからお願いしたいくらいですよ!」
「ほ、ほんとにいいの?」
「もちろんです! ねぇ、リスナーの皆さん方!」
〈ムフフフ……オジサンは断然OKだよ?〉
〈女の子がもう1人増えて、目の保養ガンガンだぜ!!〉
〈これからもよろしくね、エリちゃん! ウヒヒヒ!〉
うわっ、冗談なのは分かっているが引くわぁ。
さすがに引くわぁ。
それとコメントの中にリバーノースもといカワセンがいないのだが、席を外したのか?
あの人のコメント見ると、全身の力抜けるからありがたいのだけど。
「まぁ、とにかくそういう事だから。よろしくエリ」
「……ありがとう、コユミちゃん、狂拳先輩、皆。ボク、ちゃんと頑張るから……」
ともあれ私達の意思を示すと、口元を緩めながらも頭を下げるエリ。
よほど仲間に入れてくれた事が嬉しかったに違いない。
私もこういう子がいて悪くないと思っているし、Win-Winといったところだ。
「さて仲間が増えたところで、これからどうします? 私はどこに行っても大丈夫ですけど」
そうして話が終わった後、私に対してコユミが尋ねてくる。
私は少し思案をして、
「そうだなぁ……やっぱりこのスペシャルスキルってやつがどんなのが知りたいし、色々と調べておきたいかな。そんでこのスキルで、色んなクリーチャーをぶっ殺したい。それが出来れば問題ないね」
「言うと思いましたよ。実を言うと、私もそのスキルがめっちゃ気になりまして。今後も観察しておこうと思っているんですよね」
「観察って言い方が気になるなぁ」
「だって、狂拳さんと一緒にいると面白いんですもん。狂拳さんには常に驚きの連続ですし、飽きがしないんですよねぇ」
〈コユミちゃんに同意見っす!!〉
〈舎弟一同、狂拳先輩のご活躍を目に焼き付けておきたいっす!!〉
〈何か運営に電話殺到していて混乱してるって言うしなぁ。スペシャルスキルはいわゆる隠しの中の隠しデータだったから、日の目当たるとは思わなかったって〉
〈それどういう?〉
〈簡単にかいつまむと、スペシャルスキルは運営が遊びで仕込ませたもので、通常の手段では獲得出来ないらしい。もし狂拳先輩がオーガを普通に倒したら魔石くらいしか出なかったけど、そのオーガが先輩の実力を認めて自分の全てを差し出したから、スペシャルスキルが出たんだとか〉
〈へぇ、そんな仕組みなんだ〉
〈要はあれかな、ポ〇モンのミ〇ウみたいな感じ。あれも本来出現する予定なかったみたいだし〉
〈例えが秀逸〉
〈それならいっそ、狂拳先輩のスペシャルスキルを使った活躍が見たいな!!〉
〈先輩、オネシャス!!〉
今スペシャルスキルのアレコレが出たのだが、なるほどそういう仕組みか。
言わば、私たちハンターにとっては未知のスキル。
ますますその性能を試したいというもの。
「それじゃ、早速クリーチャーを……ん?」
私が意を決した時、渓谷の奥から妙な足音が発せられてくる。
前方の崖の陰からだと分かった直後、何者かがぬいっと現れようとしていた。
――グルルルルルルルルウウ……。
どうも、《クリワイ》にダイブして最初に出会ったダークリザードらしい。
ただその体長が、通常よりも3倍大きくなっている。
「えっ、何これ……凄くでかい……」
「きっと、以前に交戦したヌシオークみたいな巨大化個体なんでしょう。ひとまず私達が何とかしますので、エリちゃんは下がって下さい」
「……ううん、2人に付いて行くんだもん。何とか頑張る……」
一瞬怖気づいていたエリだったが、すぐに勇気を振り絞ってダークダガーを取り出す。
その意気込み、悪くないな。
私はそんな彼女の肩をポンと叩いてから、2人よりも前に出た。
「先輩?」
「狂拳さん?」
――グオオォオ……。
威嚇するダークリザードへと近寄り、その巨体を見上げる私。
ダークリザードもまた私を見下ろしていたのだが、やがて急に鬱陶しくなったのだろうか。
私に向けて右腕を振り下ろしてきたのだ。
――グオオオオオオオオオオオオオ!!! ……オオオ……?
が、そのダークリザードが不思議そうに自分の腕を見る。
それもそうだ。
私が跳躍した後、《獣身一体》によるエネルギーの爪で腕を掻っ切ったからだ。
――!!!?
「よそ見している場合かっつの!!」
で、掻っ切った後に近くの崖に張り付いていた私は、そこから跳躍して左腕を斬り落とす。
続いて尻尾も! これで奴は達磨状態に!!
――ギャ、ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! ガハッ!!
で、悲鳴がうるさかったので首を斬り落とした。
首両手尻尾がバラバラに落ちて、完全に死亡。
私はコユミ達の元へとひとっ飛びで戻ってから、一息吐いた。
「……ふぅ、これがスペシャルスキルの力ってやつか……めっちゃ楽しいじゃん!! 最高じゃん!! どうだった2人とも!?」
「……いやぁ……どう思うと言われても……」
「……完全にクリーチャー……」
「ええ……まごう事なきクリーチャーですな……」
「そこまで言う?」
めっちゃ引かれてんじゃん、私。
そんでもってよく見ると、コメントにドン引きの雰囲気が醸し出されているようだ。
〈……えっと、今さっき何が起こった? いやマジで、何か超常的な起こったとしか分からなかったけど〉
〈狂拳先輩が巨大ダークリザード(ヌシ?)を爪で達磨にしました。しかも数秒も経たずに瞬殺しました〉
〈やっぱ狂拳先輩、クリーチャーじみているな……〉
〈というかスペシャルスキルってやつがおかしいんだよ……。完全に狂拳先輩の為のスキルじゃん……〉
〈てか待て、よく見ると同接40万超えしてんだけど〉
〈おーほんとだ! 同接40万!!〉
〈コユミちゃん、狂拳先輩、同接40万超えたよ!! おめでとう!!〉
「えっ……あっ、ほんとだ!! 嬉しいです!! めちゃ嬉しいです!! 狂拳さん、同接40万行きましたよ!! 同接40万!!」
「へぇ、それはよかったじゃん。おめでとうコユミ」
「完全に他人事!! 狂拳先輩のプレイのおかげなんですから、もっと嬉しそうにすればいいのに!! いつも通りですけど!!」
〈うん、いつも通りだ〉
〈同接全く気にしていない狂拳先輩クールやな!!〉
とにかくだ、このスペシャルスキルを持ってすれば面白い戦闘が出来そうだ。
ワクワクがたぎる。
たぎりすぎて、居ても立っても居られない!
「行こうか2人とも! これからも色んなクリーチャーを八つ裂きしたいしさ!」
「言い方!! まぁ別にいいですけど……行きましょうエリちゃん!」
「……うん!」
やがて私達3人は、未知に溢れた《クリワイ》世界を旅する。
この先、どんな驚きが待っているのだろうか。楽しみで仕方ないな。
―完―
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
本当はもう少し続く予定でしたが、このたび本作をここいらで完結とする方向になりました。
誠に申し訳ございませんが、それでも最後までお読みした読者の皆様には感謝が尽きません! レビューも感想もしていただき嬉しかったです!
改めて最後までお読みいただき誠にありがとうございます!
次回もどうかミレニあんの作品を楽しんで下さればかと思います!
これで最後となりますが「面白かった」と思った方は、ぜひとも☆や応援コメやレビューよろしくお願いします!
【完結】VRMMOのバグで徒手空拳最強になったJK、そのままイキイキと良い笑顔で虐殺プレイを始めてしまった結果大バズになった件 ミレニあん @yaranaikasan
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