永遠の命か、この刹那か。


舞台は近未来。

人型のAIが自在に動き回り、ドローンが軒先まで荷物を運ぶ社会。
人の脳内にはチップ・センサーを埋め込むことができ、ハイテクノロジーなアイテムと連携することで、まるで身体の一部が機械であるかのようにIoT機器を扱う世界が描かれます。

そんな世界を生きる、学生の金美ちゃんと桂くん。仲睦まじく穏やかに過ごすふたりの日常は、大企業ディープ・レッド社の思惑によって次第に揺るがされ、そして大きな秘密が紐解かれてゆきます。

人間ばなれした能力を享受できるアイテム、スマートアイズ、スマートシューズ。未来のアイテムで読者の心を躍らせながらストーリーは進みますが、その先に待ち受けているのは、暗く、残酷な現実と死闘でした。


—— ハイテクノロジーアイテムとAIで人の永遠を実現する未来か、それとも。


変えることのできない現実とそれぞれが背負う過去に翻弄されながら、主人公たちが極限状態まで戦ったその先で人間としての真理を見つめる様子には、おおいに心を打たれました。クライマックスまで駆け抜けるその熱量と力強さは圧倒的です。
きっと、魅力的な世界観のずっと奥のほうで、作者様の生への真摯な視座があるからこその、この熱量なのでしょう。

そして、ラスト2話で繰り広げられる展開では、おそらくこの作品の最もかけがえのないところが表現されています。祈りのような物語。
読み進めている方は、必ずこのラストまでたどり着いて頂きたい。


人の尊さとは何か。
テクノロジーでは成し遂げられないものとは、いったい何なのか。
私たちの生きるこの刹那に思いを馳せながら、みなさまぜひお読みください。

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