概要
どこにもいかないで
ひどく暑い夏の日のことだった。
放課後になっても君の姿が見当たらないので、私は嫌な予感がして学校中を捜して回った。でもどこにもいない。同級生や先生に聞いたりもしたけど、愛想もなくて嫌われ者の君の行方なんかには皆興味もないみたいで、手がかりのひとつもつかめなかった。
十六時のチャイムが鳴る。
もうすぐ夏休みが来る。
まだ君には話してないけど、夏休みには君と一緒に行きたい場所がたくさんあった。電車に乗って海に行くのもいいし、都会に出てみるのもいい。お祭りとか、花火大会とかもいい。でも君は面倒くさがりだから、そんなに遠出するのが嫌だと言うかもしれない。それなら、いつも君と話していたあの丘の向こうまでちょっと行ってみるだけでもいい。
どこでもいいんだ。君と一緒なら。
でもできれば
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