第40話 S級女教師の誘惑

「そっか、石田さんのお父さんは渉に愛想を尽かしてしまったんだね」

「うん……すべてクズ男のやったことが原因だから。それにお義父さんはお母さんと別れたくなかったんだって」


 主を失った石田の席を見ると花瓶が置かれ、菊やしきみ、百合に胡蝶蘭といった花束が供えられていた……。


 ちょっと悪乗りが過ぎているような気もするが、石田がやってきたことを考えるとそれくらいやり返したい気持ちはなんとなくは分かる。


 当然、絵里花もしばらく学校を休学するとの連絡が木村先生へあったみたい。


 女の子ばかりの五つ子って、某漫画がほわわ~んと浮かんできたが、あれは主人公の家が貧しい設定だったけど絵里花も貧乏を遥かかなたに通り越して今や野宿生活だと聞いている。


 絵里花と石田のこれからの人生は子育てに忙殺されることだろう。願わくば絵里花が自分の子供には虐待やネグレクト育児放棄を起こさないでほしいものだ。


「やっぱり気になる? 佐々木さんのこと……」

「う~ん、どうだろう? 心配はしてないけど、もしかしたら、どうなっていたのかなぁ、っていう想いはあるよ」

「ん? どいうことなのかな?」


「石田が絵里花を寝取らなかった世界線だったら、俺はいま石田みたいに大変な目に遭っていたかもしれないってこと。まあ石田が絵里花地雷を引き取ってくれたことに感謝したいね」


「私も渉には感謝しないといけないかも。だってこうやって優一くんの隣にいれるんだもん」


 石田さんは教科書を忘れたと木村先生に告げて、彼女の机を俺の机へ合わせている。


「石田さん……ちょっと近いかも……」

「優一くん、ごめんね。ちょっと見えないところがあって……」


 それだけじゃない、先生が黒板へチョークを走らせている間に身体を寄せてきてしまい、腕がたわわに当たってしまっていた。


「じゃあ、教科書をそっちに寄せるね」

「うん、もう大丈夫。見えたから。やっぱり優一くんは優しいね」


 いつも厳しい顔というか、浮かない表情をしてツンクールだった石田さんが天使さまのような微笑みを浮かべるだけで俺は天にも昇るような心地よい気分になってしまう。


 キ~ンコ~ン♪ カ~ンコ~ン♪


 俺の鼓動が常に早くなってしまっていたが授業が終わり、石田さんと離れるのが名残惜しくもあった。


「先生の目を盗んで、優一くんにくっ付くとドキドキしちゃうね」

「えっ!?」


 天使さまの石田さんから出た小悪魔的発言にびっくりしていると、


「志穂ばっかズルいぞ! すげえ我慢してたんたからな!」

「そうです、休み時間は志穂さんは優一くん抜きの刑ですぅ」

「そ、そんな……私だけ除け者?」


「さすがにそれはかわいそうかな……」

「優一は志穂に甘いんだよ」

「そうです、ここに甘えたV Tuberがいますから! 頭撫でてもいいんですよ」

「あ、はい」


「ああ、優一くんの撫で撫で最高です! これはスパチャの一億円の価値はありますね」

「なんだと!? あたしも頼むよぉ~」


 高木さんが俺に黒髪を見せていたところ、すーっと音もなく、誰かが寄ってきたようで俺たちに影が落ちた。


「あら、仲がいいのはいいけど男女交際は清く正しく行わないとね」


 石田の席の花瓶を回収した木村先生が俺たちの前に立っていて、先生が絵里花と石田の席に視線を送ったことで俺たちは彼女に釣られて席を見てしまう。


 つまり不純異性交遊は慎みなさいと言ってくれてるのだろう。


「早苗ちゃん、分かってるって。あたしは勉強はできねえけど、その辺は抜かりねえから」

「私は石田くんにも先生にも、もちろん両親にも迷惑はかけたくないです」


「私もですよっ! 優一くんのことは好きだし、あんなことも、こんなこともしたいですけど……」

「うふふ……島谷さん、本音がだだ漏れですよ」


 島谷さんが頬を赤らめていると、先生はポンと手を叩いてお願いしてきた。


「白川くん、ごめんなさい。ちょっと重たい教材があって運べそうにないの。放課後手伝ってもらっていいかしら?」

「はい、俺で良ければよろこんで」


「私も手伝います」

「あたしも優一がするっていうなら」

「私もですぅ!」

「うん、みんなありがと。でも私と優一くんでできると思うから気持ちだけ受け取っておくね」



――――放課後。


 ここはどこだろう?


 なぜか俺は見知らぬベッドでブレザーを脱いで寝かされていた。


 教材を運び終え、先生から労いとお礼のコーヒーを淹れてもらって、飲み干したあとの記憶がない。


 それに今はコーヒーの香りどころか、お風呂上がりの麗しい女性が使っているシャンプーのいい香りが漂ってきていた。


「あら、優一くん! 気がついたのね。突然意識を失っちゃったから驚いたわ。荷物が多くて疲れちゃったのかしら? でも無事でなにより」

「せ、先生!?」


 香りだけじゃなく、長い髪を纏めて上気した先生が俺の前に立っており、海老のように身体を退いて驚いてしまう。


 俺が意識を失って倒れた?


 いや疲れるってほどの仕事量じゃ……って、先生はつい先ほどお風呂から上がってきましたみたいに大きめのバスタオルだけ巻いて、ベッドの傍らに座る。


 学校では清楚を絵に描いたような先生なのに、この部屋いる先生は大人の色香で俺を惑わし、石田さんたちとはまったく違う魅力にあふれてしまっていた。


 バスタオルの隙間から覗く先生の谷間を目の当たりにした俺は思わず股間を押さえる。


 先生の手には強アルコールで有名なゼロ系ストロングが握られており、プルタブを開けるとごくごくと喉を鳴らして飲んでいた。


「先生! そんな強いお酒を一気に飲んだら……」

「お酒はいいわ~、嫌なことぜん~ぶ忘れさせてくれる。悲しいことも、辛いことも……優一くん、あなたは女の子を抱いたことがあるかしら?」


 先生はあろうことか、お酒を飲み干すと立ち上がってバスタオルを取り払い、大人の女性の裸体を俺の前に晒してしまっていたのだった。


―――――――――あとがき――――――――――

なんとか間に合った? 正真正銘の一章最終話にございます。


絵里花問題が一段落ついたかと思ったら、優一は貞操の危機迎えてしまいました。ヤンデレ先生のえちえち攻撃の前に優一は耐えられるのか? 優一よ、ええんやでフリーになったから耐えんでも( ´艸`)


早く再開しろ~ヽ(゚Д゚)ノという読者さまは是非フォロー、ご評価お待ちしております。それではまた再開まで~。

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ネトラレうれしい! 許婚のモラハラ幼馴染が寝取られたけど、間男の告白を蹴った美少女たちが、俺と幼馴染が別れた途端に恋心を露わにしてくるんだが。 東夷 @touikai

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