第39話 勘当的大家族の誕生予告【ざまぁ】
――――【渉目線】
元カノに助けを求めようと家を出ようとしたときだった。ぽっこりとした腹になった絵里花が家の前で待ち構えており、志穂が余計なお世話で絵里花を上げてしまっていた。
オレは絵里花にガキを堕ろせと告げたのだが……、
「あ、無理だからね。もう五人もデキちゃってるからっ!!! 私と渉の赤ちゃんがいっぱいなのよ。もう大家族よね」
は?
「五人だと?」
「そう、五つ子ちゃん! しかもみんな女の子なの」
絵里花の言葉にめまいがして、くらくらと倒れそうになった。
地雷女とか言うレベルじゃねえよ、マジで特級呪物そのものじゃねえかよ!!!
いや絵里花の実家は会社社長でなかなかのやり手と聞いている。しかも白川と婚約していたって話じゃねえか。なら絵里花の両親は孫見たさにオレを次期社長に据えるに違いねえ!
だったら、絵里花とガキを作っても問題ない。落ち着けば次期社長と謳い、女と遊び放題って奴じゃねえか。
「よし、絵里花。オレと婚約しようぜ。オレが幸せにしてやるからよぉ!」
絵里花をじゃねえ。
こいつの実家の財産目当ての政略結婚だ!
次期社長と有り余る財産、地位も金も得て、オレが幸せになるんだ。
絵里花? んなこと知らねえよ。オレに惚れてることを利用し、好き勝手させてもらうぜ、
「わあ! うれしい!!! やっぱり優一よりも渉は頼りになるね。あいつと婚約破棄して正解だったよ」
「暑苦しいからベタベタすんなよ! ところでなんで家に来たんだ?」
「うん、実はね……両親は海外に行ったっきり連絡が途絶えちゃった上に実家まで差し押さえられて、渉のところで同居できないかなって、お願いしにきたの。ねえ、ダメかな?」
オレは絵里花の言葉を聞いて、しばらくの間、思考が停止した。
つか両親が居らず、家もねえし、腹ボテの女なんて産廃以下の存在じゃねえかよ!!!
「ほら、もう私たち婚約者なんだから、いいよね! 妊娠しててもちょっとくらいならえっちさせてあげるから、ねえってば」
ちょっとくらいって、オレに二十回戦も強要する馬鹿げた性欲してるくせして、なにかわい子ぶってんだ! しかもオレが白川から寝取ったときの美少女の面影は見るも無残な姿に成り果ててしまってる……。
「む、無理に決まってんだろ! どっか連れの家にでも泊めてもらえよ」
「ヤダっ! ぜったいに渉と暮らすんだから!」
くそっ! この雌豚、マジうぜえ!!!
腹パンしてやろうかと拳を握ったときだった。
トントン、トントン♪
オレの部屋のドアがノックされる。
「あ? 志穂か? いま忙しいんだよ後にしろよ」
「渉! 話がある。ちょっと出てきなさい。出て来ないなら、無理やりにでも入るぞ」
げっ!? 両親が家に帰ってきており、義母の後ろに志穂が隠れてやがる。
それを見た瞬間、悟った。
これは志穂の罠だ!
だがもう両親に腹ボテの絵里花を見られてしまったいま、時すでにお寿司……じゃえね遅し。
「おまえには幻滅した。余所さまのお嬢さんを妊娠させ責任を逃れようなど、言語道断だ! 恥を知れ! 渉よ、今後この家の敷居を跨ぐことは許さん。これからは自分で道を切り開いていくことだ」
「ななな、なんだよ、それ……なに急に厳しくなってんだよ、オレと親父は血の繋がった家族だろ? なあ、考え直してくれよ」
「家族だと? 渉……おまえの愚かな行為を聞いたときは本当に呆れたぞ。私たちが預かり知らぬ間にあろうことか志穂ちゃんに何度も手を出そうとしていたそうじゃないか……。彼女から証拠の動画を見せられたときのオレの気持ちを考えたことがあるのか? 言ってみろ、この穀潰し!!!」
バシンという音と共にオレの頬に強い重みと痛みが走る。
親父にも
いや親父か……。
とにかく初めて親父はオレに手をあげていた。
「渉。オレはおまえとは家族の縁を切る」
「渉くん、ごめんなさい。私たちにできることはそのお嬢さんの子どもの養育費くらいしか出してあげられないの……」
両親から告げられたことに絶句してしまう。
志穂はただ無言でオレを見ていただけだった……。
くそっ、なんでオレがこんな目に遭わねえといけねえんだ。それもこれも白川と絵里花のせいじゃねえか!
「これからは渉と二人っきりで過ごせるね」
「……」
なんというお花畑脳に頭痛が痛い……。
まさに絵里花はさげまんと呼ぶに相応しい存在となっちまっていた。
「バイバイ、渉」
志穂はその一言を残し、自分の部屋へ戻っていった……。
どうしてこうなっちまたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!
―――――――――あとがき――――――――――
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。締切という制限時間がある中で書いたので描写不足の感が否めませんので、後日足りない部分を加筆修正したいところです。
いや~2ヶ月間のカクヨムコンも本日で終了!
結果はどうあれ、すべて出し尽くして書き切りました。作者、読者の皆さまからいただいた暖かい応援コメントに返信しつつ、来週辺りにでも映画館へ
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