4Kテレビのフレーム補完によるサブリミナル広告のここが凄い!
楠樹 暖
4Kテレビのフレーム補完によるサブリミナル広告のここが凄い!
家庭用テレビはハイビジョンを超えてスーパーハイビジョンである4Kの時代に突入しました。4Kは解像度が3,840×2,160の8百万画素を実現しています。1秒間に表示できるフレーム数をfps(Frame Per Second)という単位で表しますが、4Kテレビでは120fpsに対応しています。映画は1秒間に24コマなので、実に5倍の画像を処理することになります。
映画では1秒を表現するのに1/24秒毎の連続した画像となり、アニメを作る場合も同様に1秒間に24枚の絵を描くことになります。しかし、そのためのコストは大変なものになるため、日本のアニメでは省力化のために同じ絵を2コマから3コマ使用するようになりました。つまり、3コマ使う場合は1/8秒毎の絵となります。その結果、日本のアニメはディスニーアニメのように滑らかに動くことはなく、ガタガタと見えてしまうのです。
4Kテレビの場合も120fpsの映像を見慣れるとそれより低いfpsの映像を見るとガタガタと見えてしまいます。
そこで必要となる技術が【フレーム補完】です。
たとえば60fpsの映像の場合は、1/60秒の画像と2/60秒の画像の間には3/120秒の画像があるはずです。その間の画像を前後のフレームから中間点を計算し画像を作り出して補完しようというものです。これをリアルタイムで行うことにより低いfpsの映像もヌルヌルと動くように見せることが可能となりました。
フレーム補完についてはアニメの中割りを想像すると理解しやすいかと思います。アニメでは原画マンと呼ばれる人が描いた要所要所のシーンの原画があります。その原画を今度は動画マンと呼ばれる人が間の動きを動画として描きます。止め絵だった絵に動きという生命が宿ることになります。
フレーム補完の技術は新たな可能性を生みました。それは、フレーム補完した画像の代わりに別の画像を差し込むというものです。
1956年、J・ヴィカリーによって報告されたサブリミナル効果を利用した広告があります。
ニュージャージーの映画館でスクリーンにそれと知覚できぬほど短いショットで「Popcorn」と「Drink Coca-cola」の文字を繰り返し挿入すると、それぞれ売り上げが58%、18%上昇したというものです。
フレーム補完の代わりに別の画像を挿入することで人にどういう影響があるかを実験してみました。
被験者には普通のバラエティー番組を見てもらい、その映像の中に1/120秒別の画像を表示させるというものです。
実験に使用された画像は京都アニメーション(京アニ)制作の『AIR』です。大手アニメ制作会社の仕上げの仕事を請け負っていた京アニは『フルメタル・パニック? ふもっふ』で元請制作となり、アニメファンから注文を集め始めます。その後、恋愛アドベンチャーゲーム『AIR』のアニメ化に入ります。美しい作画と高い技術力により、京アニはアニメファンに一目置かれることとなり京アニはブランド力を高めることになります。『AIR』はDVDが発売されていましたが、Blu-rayの時代に突入するとBlu-ray版の要望も高くなってきました。しかし、元々はSD(標準)画質で制作されておりそのままBlu-rayに焼いてもDVD画質なのは変わりありません。そこで、【アップコンバート】という技術を使用し画質を上げてもギザギザにならずにアルゴリズムにより画像を滑らかになるようにしました。そして、5・1ch化された音響も相まって高い水準のBlu-ray版が完成しました。時が経ち、アップコンバートがリアルタイムで処理できるようになると、DVDをBlu-ray並に再生するプレイヤーが登場します。その中の一つがSONYのプレイステーション3(PS3)です。PS3のアップコンバート技術はアップデーを行い、より美しく見せるように進化をします。そのとき基準にされたのは『AIR』のBu-ray版でした。『AIR』のDVD版を再生したときにBlu-ray版と同じレベルとなるのが開発チームの目標でした。このように『AIR』は映像を扱う実験としては最適であるという判断のもと画像の差し込み実行を行いました。
実験の結果、50%の被験者が「どろり濃厚ピーチ味」のジュースが飲みたいと言い、30%の被験者が「がぉ」と言い、10%の被験者が「もうゴールしてもいいよね」と言いました。なぜ自分がそういうことを言ったのか理由を説明できる被験者はいませんでした。
今日、フレーム補完にサブリミナル効果のCMを入れる機能は多くの4Kテレビに組み込まれています。CMは電波に乗せて各家庭に送られ、4Kテレビで映像を表示するときに差し込まれます。CM自体はいつもで変更可能です。テレビ番組自体にはCMは差し込まれていないため、録画してコマ送りをして見てもサブリミナルCMは出てきません。あくまで映像を出力するときだけであり、人間の目には意識されないごく短い時間だけです。
4Kテレビを使用した実証実験は先日行われました任期満了に伴う知事選挙でも実験されています。下馬評では負けが濃厚だった対抗立候補者にサブリミナルCMを提案してみたところ19時から21時のゴールデンタイムにCMを出すことを承諾してもらい、結果、投票率が前年比より2割増し、事前の予想結果を覆し見事当選を果たしました。
このように4Kテレビのフレーム補完を利用したサブリミナルCMは効果絶大であり、通常CMとは別の新たなコマーシャルとして活用可能であることは明白です。
現在提供できるプランは30分番組のスポットCMや、毎日同じ時間の帯や、一日中占有することも可能です。それぞれ時間に応じて割引もご用意しております。
参考:
https://av.watch.impress.co.jp/docs/20070528/avt007.htm
4Kテレビのフレーム補完によるサブリミナル広告のここが凄い! 楠樹 暖 @kusunokidan
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