↑実際は恋愛物語だと思うんですけど、個人的にはそうだと思うんですよね。
不思議な能力を持っている主人公というところから話が始まりますが、実際はそんなファンタジーものではなく、不思議な人格を持つ“犬系”ならぬ“犬化”彼女との生活が始まる……というかなりぶっ飛んだ物語です(笑)
ですが、ほかにもたくさんのヒロインがいたり、興味深い過去があったりと、様々なジャンルのものがましましで入っています。
その中で、苦悩したり笑ったり驚いたりドキドキしたり、主人公がだんだん彼女とともに成長するというのが、話の流れで一緒に味わえた気がしました。
一番最後の話は、色々な意味で嬉しかったです。
後ろをついてきたり、忠実なのをわんこ系キャラと呼ぶが、この作品のヒロインは犬系ではなく犬化とさせるのは目から鱗である。
一人一人のキャラを深みある形に仕上げ、本来、能力は便利であるものだけど、敢えて葛藤を抱かせる小道具として展開させる。
確かに基本展開は明るい。
けど明るさがあれば影が生まれるように、誰もが持つ悲しみが文字通り影を落として、作中の展開に上手く緩急をつけてくる。
出会いというのは喜怒哀楽がどうしても関わってしまう。
嬉しさもあれば悲しみもあり、別れもある。
条件があろうと否応にも悲しみを知ってしまう、知っているからこそ誰かのために身体を張れる、動くことができる優しさが、救うカギとなる。
タイトルや作者の代表作からエロ臭さが漂っていますが、これはビターでスィーツなラブコメですので、一読あれ。
……見事に沈みますよ?
抱きしめることで相手の“最も悲しい過去”を見ることが出来る。そんな特殊能力を持つ少年が主人公。そんな彼のもとに、ある日、真っ白な犬がやってくる。しかし、その実、白い犬は自分を犬だと思いこんでいる訳アリ美少女で…。
1つ屋根の下、不思議な犬系(?)少女と暮らす日々が始まる。
会話をメインに、賑やかで明るい雰囲気で物語は進みます。そのため、心理的に読みやすく、ラブコメらしく「それは無いだろ!」なんてツッコミを入れながらも、楽しく読み進めることができました。
そして、正真正銘、書いて字のまま“犬系”のヒロインが可愛い! いわゆる獣人ではなくて、あくまでも人。耳も毛も服装であり、尻尾があるわけでもない。発する言葉も一応(?)人語です。
なのに、ただただ、彼女の一挙手一投足がとにかく可愛らしい。思えば可愛い犬と美少女のハイブリットなんですもんね。可愛いに決まっていました。最強です。
私個人としては、犬らしい言動と、ヒロインの素直な言葉があるからこそ成り立つ魅力なのかなと思います。
こうしたい、これが好き。そんなヒロインの言葉と、その端々にある犬っぽさ。この塩梅が絶妙でヒロイン「オリザ」という1人の少女の魅力を引き立てていました。
ただ、このヒロインさんもともとは普通の人間だった様子なんです。“犬系”になってしまったのには過去が大きく関わっているらしいのですが…。
人格を変えてしまうほどの大きな出来事。にも関わらず、主人公の特殊能力では見通せない…。そんなヒロイン誕生の謎も含めた、各所に散りばめられた秘密。そして、主人公が知ることになるだろう登場するヒロイン達の過去が、甘いラブコメに適度なスパイスを加えてくれて、物語に厚みを生んでくれていた印象でした。
そんなヒロイン(達)と出会って、変わり始める主人公もまた見逃せません。
特殊能力を持つがゆえの苦悩、過去のトラウマに振り回されつつも。ヒロインに出会って、なりたい自分を見つけ、変わっていこうとする。そんな姿は素直に応援したくなりましたし、好感を持てました。
変わりたいと願う主人公の成長も、恋愛とはまた違った、本作の魅力だったように思いました。
ひょんなことから始まった謎の犬系美少女との同棲生活が、奥手な主人公を変えていく。そして、主人公がヒロインの過去を知った時、今は飼い主と犬でしか無い2人の関係はどのように変わって行くのでしょうか…?
ユニークな設定のもとに繰り広げられるラブコメをお求めの方には是非おすすめしたい作品です!