SUPER SPORTS -陰キャな高校生はプロライダー-

ココア-

RACE 00 PROLOGUE 〜あの日のライダーさん〜

あのね!!ともや、さっきね、かっこいいおにいさんにバイク?っていう乗り物に乗せてもらったの!!


かぜがぴゅー!!ってね、きもちよかったんだよ!!!

ぼくもおにいさんみたいにバイクにのりたい!!


え!?おとーさんもバイクにのれるの!?

おおきくなったらいっしょに?

のせてくれるんだ!!おとーさんだいすき!!!!


…………………


ショッピングセンターで迷子になった幼い日の俺は、一人の心優しい青年と出会った。両親とはぐれた恐怖で泣いてしまった俺を、優しく励まし、そして両親のもとに送り届けてくれたあの若きヒーローとの出会い、全てはそこから始まったんだろう。雄々しく猛々しいエンジン音、独特の匂いが香るエンジンオイル、肌に伝わる力強い振動と、颯爽と走りゆくライダースーツの、優しいヒーロー。迷子の俺を救ってくれたという事実は、まだ小学校にも通わぬ幼子には、最高にかっこよく映ったものだ。


『ぼくも、おにいさんみたいなライダーになりたい!!』


幸いというか偶然というか、俺の両親はバイクに明るく、この日抱いた俺の夢も全力で応援してくれた。



「貴方は息子の恩人です、本当に、本当にありがとうございました」

ほんの十数分ぶりの愛しい我が子との再会を喜ぶ彼の母親は、あの日の母親と同じ顔をして言う。

「いえいえ、明日人君を無事送り届けることができてこちらこそ良かったです」

「本当に、何とお礼を申し上げればよいか…………ほらあすと君、お兄さんにちゃんとお礼しましょう?」

「おにーちゃんありがとう!」

満面の笑みを浮かべる少年の姿は、あの日の自分に重なる。

「あぁ、お母さんと会えてよかったな明日人。でも、次からはちゃんとお母さんとはぐれないように気をつけるんだぞ」

「うん!」

少年の幸せそうな声。


ここは街から少し離れた山の中腹にある絶景スポットだ。駅も近いし複合商業施設もある、デートや家族のお出かけだけでなく。ツーリングスポットとしても有名なのだ。当然だが、バイクや車の通りも多い。


「本当に無事で良かったです」


俺はあの日のライダーさんのように、少年に夢を魅せられているだろうか。


ほんの少しの幸せを噛み締めながら、俺は愛車にまたがり、エンジンを始動する。少年とその家族に別れを告げ、尚も熱い視線を浴びながら駐車場を抜けていく。


10年以上の時を経てもなお、俺の心に夢は燃えている。


***あとがき

11/29 Update : 誤字修正しました。後書追記しました。


ドーモ、ハジメマシテ。メガネヤローです。

久々に『書きてぇぇぇぇぇぇぇ』意欲が零れて溢れたからと、リビドーをそのままぶつけて見切り発車した見境のないアホ作家とは私のことだろう。

(ちゃんと大筋は出来上がってるので安心してください)


本作の主人公はバイク乗りですが、ヤローも数年前までバイクなにそれ人だったので、アイドルと高校生のラブコメが読みてぇだけの方でも安心して読める親切設計になっています。(メイビー、きっとそうであるはずだ)


長々と書くものでもないので最後に次の更新日です。

12/3 21:00

SEASON.01 『ライダーさんの日常』

RACE 01 『ライダーさんは 陰キャ高校生です』

RACE 02 『ライダーさんの趣味はバイクです』


プロローグよりもボリューム満点でお届けしますので、暫しお待ち下さい。

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