12-4「丸ごと不機嫌お嬢さま」(1P)
踵を鳴らして通りを駆ける
消えぬ不安を振り切るように
彼はチェシャー通りを行く
求めるのは安心だ
昨夜自分を苦しめた悪夢への否定だ
ただ、ひとめだけでいい
いつもの彼女の姿を見たかった
狭い視界で捉えるのはビスティーのドアノブ
変わらぬ店構えなど目もくれず
彼はそれを引き抜いて────
「────ミリア!」
────ガッ コン!
「────!?」
声とともに扉を引き、響いた音と衝撃に目を開いた。
無意識・無作法に『ガコンガコン』と音を立てる手の先の扉から、順に捉えるのは『closed』の内プレート。
その事実に気が付き
彼は、すぅ──っと息を吸い込んで────
(────鍵、……そうか、休み、か……)
肩を下ろし呟いていた。
よく考えれば、おとといの舞踏会まで修羅場だったのである。
当日、彼はビスティーに居合わせることはできなかったが、タイムスケジュールを見る限り朝からみっちりと予約で埋まっていた。
連日の修羅場から、続けてそれをこなしたのだから、休業日なのは当然だ。
それでもこっそりと窓から店内を覗き見る。
ぐるりと目配せした店内は綺麗に片付き、平穏を取り戻しているように見えた。
『店は無事だが彼女は居ない』、この現状に
エリックの脳内、ミリアの
『明日は昼まで寝る。絶対寝る』の一言が蘇り、
次の更新予定
副業盟主vsコメディ女 保志見祐花 @hoshiyuka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。副業盟主vsコメディ女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます