12-4「丸ごと不機嫌お嬢さま」(1P)





 踵を鳴らして通りを駆ける



 消えぬ不安を振り切るように

 彼はチェシャー通りを行く






 求めるのは安心だ

 昨夜自分を苦しめた悪夢への否定だ




 ただ、ひとめだけでいい




 いつもの彼女の姿を見たかった





 狭い視界で捉えるのはビスティーのドアノブ


 変わらぬ店構えなど目もくれず


 彼はそれを引き抜いて────





「────ミリア!」













 ────ガッ コン!

「────!?」




 声とともに扉を引き、響いた音と衝撃に目を開いた。



 無意識・無作法に『ガコンガコン』と音を立てる手の先の扉から、順に捉えるのは『closed』の内プレート。






 その事実に気が付き

 彼は、すぅ──っと息を吸い込んで────



 


(────鍵、……そうか、休み、か……)

 肩を下ろし呟いていた。





 よく考えれば、おとといの舞踏会まで修羅場だったのである。



 当日、彼はビスティーに居合わせることはできなかったが、タイムスケジュールを見る限り朝からみっちりと予約で埋まっていた。



 連日の修羅場から、続けてそれをこなしたのだから、休業日なのは当然だ。




 それでもこっそりと窓から店内を覗き見る。

 ぐるりと目配せした店内は綺麗に片付き、平穏を取り戻しているように見えた。




 『店は無事だが彼女は居ない』、この現状に



  エリックの脳内、ミリアの


 『明日は昼まで寝る。絶対寝る』の一言が蘇り、

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2024年9月25日 18:00
2024年9月26日 18:00
2024年9月27日 18:00

副業盟主vsコメディ女 保志見祐花 @hoshiyuka

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