箱庭に、もう一輪の花が咲く。

下河空の事が好きなのに、引っ越しが多いことから強く出られない天音翼と、家族の問題を引きずって色恋沙汰へ消極的な空による、じれじれの恋物語。

同氏の作品「君がいるから呼吸ができる」のヒロイン、下河雪姫の弟・空を主人公としたスピンアウト作品だが、未読でも全く問題ないように描かれており、姉の下河雪姫が作者という設定で、欄外という扱いで実際に付いたレビューについて触れたり、各話についたコメントを拾ったりする等、読者とコラボするという実験的な試みがなされている。

不器用だが心根がまっすぐで芯の強い空と、自ら嵌めた枷では気持ちが抑えきれなくなっていく翼との距離が、温かい友人達の力もあって徐々に近付いていく様は、まさに王道の恋愛ロマンスと言えるのではないだろうか。

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