俺の家族。

夕日ゆうや

とある家族の日常

 俺には家族がいる。

 母と父、それに妹の四人家族だ。

「今日、スーパーで大根が安かったのよ」

「そうか。それで大根ステーキにぶり大根、ふろふき大根なのか……」

「そりゃいい。父さん、大根が好きなんだ」

「もっと肉が欲しいな~」

 家族団らんのひととき。

 肉が欲しい妹がふくれっ面を浮かべている。

「俺も肉が欲しいな」

「そうだ。今日、栄樹えいきくんに可愛いって言われたの~」

「母さん、俺も食べたい」

「お父さん、彼氏は許さないぞ?」

「はいはい。お父さんは黙っていようね」

「俺、腹減ったよ」

「まあ、栄樹くんとは付き合わないけどね」

「そうなのか。父さん、てっきり……」

 おとがいに手を当てて神妙な面持ちをする父さん。

「まあ、好きな人でもいるの? さつき

「それはね。秘密」

 唇に指を当てて小悪魔的に笑みを浮かべる妹。

「父さん、許さない」

 頑なに表情を変えない父さん。

「俺の飯、まだ?」

「そうだ。明日、織斗しきとの墓参り行くぞ」

「えー。しょうがないな~」

「こら、お兄ちゃんになんて口をきくの!」


 そっか。俺、死んだんだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の家族。 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ