16 【ビール】強烈なビールを飲んで幻覚を見た話

 いやー、人間の脳ってすごいですねー(他人事か)


銘柄:RUINATION(ルイネーション)(旧)

醸造所:アメリカ STONE(ストーン)醸造所

ビアスタイル:アメリカンIPA(ウエストコーストスタイル)

アルコール度数:8.2%

IBU:100+


IBU=International Bitterness Units(国際苦味単位)。「苦味」の強さを数値化したもの。日本国内大手のスタンダード品は16~21程度。



 先日いきなりビールの話をし出したのは、このRUINATIONの思い出を語りたかったからだったりします(笑)

 ちょっと「IPAとは何ぞや」という説明から入らなければならないのが申し訳ないですがご勘弁を。


 17世紀頃(と見た気がするがソース失念)、イングランドで「ペールエール」という種類(ビアスタイル)のビールが生まれました。


 「ペール」とは「色合いが淡い」という意味です。では液体色は我々にも馴染み深い黄金色か……と言われればさにあらず。銘柄によって差はありますが、おおむね琥珀色です。

 それなのに「色合いが淡い」というのは、当時の一般的なビールはかなり色が濃かったんでしょうね。


参考(になるかな?):ホブゴブリン(旧)

https://kakuyomu.jp/users/azumaatuteru/news/16818093082231796675


 そして18世紀頃。このペールエールを当時大英帝国の植民地だったインドへ船便で輸送していたのですが、長旅とアフリカ航路で二度も赤道を越えることから劣化に悩まされていました。


 そこで劣化対策として考え出されたのが、「麦汁を濃くする」「度数マシマシ」「ホップマシマシ」という三段攻撃でした。ジェットストリームアタックみたいですね。

 こうして生まれたのが、「インディア・ペールエール(IPA)」という濃くて苦いビールです。


 ペールエールならびにIPAは、後にアメリカに渡り、香り>苦味な「アロマホップ」やどちらも強いタイプ(呼び方わからーん)を使用した「アメリカンペールエール」「アメリカンIPA」が生まれます。


 特にアメリカンIPAは、僕がビールにハマった頃は苦味も香りも強い「西海岸(ウエストコースト)スタイル」が主流だったんですが、コロナ前には苦味を抑えたNE(ニューイングランド、ノースイースト)スタイル(ヘイジーIPA、ジューシーIPAとも)が人気になっていました。



 さて、本題のRUINATION。ガッチガチのウエストコーストスタイルです。上のスペック紹介で(旧)とあるのは、後にバージョンアップしたからです。


 その日、僕は行きつけのビアバー(残念ながらコロナ禍で閉店)のカウンター席に座り、出入口近くの冷蔵庫からRUINATIONを注文しました。噂に聞くウエストコーストスタイルの代表格、IBU:100+の苦味がどれほどのものか、喜びと緊張で少々震えておりました。


 グラスに注いでもらい、濃厚な液体色と青臭さすら感じる強い柑橘系の香りを堪能した後、いざ口の中へ。

 フルボディの本体があってもなおはっきりと伝わる、いや襲いかかってくる前代未聞の強烈な苦味が口中、喉、食道、胃と通り抜け、そして僕は見ました。


 自分が、緑色半透明の水で満たされただだっ広いプールの中にいるんですよ。

 上を向けば、数メートル先に水面が。光が差して、最上部が白く輝いています。

 逆に下を向けば、緑色がどんどん濃くなって黒へ。底はまったく見えません。

 プールの中央、また自分の鳩尾のあたりで、拳大の球体が高速回転しています。


 そんなイメージ映像が、ただ頭に浮かんだだけでなく(それだけでも大概だと思いますが)、実際の視界――出入口から冷蔵庫のあたりに重なって見えているんですね。


 脳味噌がバグるレベルの苦味って何なんだ、と落ち着いてから思いました(笑)

 なお、この時の経験を無法剣の演出に活かしてたりしますw


 ……今にして思えば、これで苦味に対する感覚がおかしくなって、後に飲んだビールの苦味を正しく評価できなくなったかもしれない(汗)


近況ノート(ラベル画像):

https://kakuyomu.jp/users/azumaatuteru/news/16818093082232029424

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ものぐさ野郎の「チラシの裏」 吾妻藤四郎 @azumaatuteru

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