第45話 傍迷惑な彼女
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エントランスに顔を出した彼女は最初の日に見たようなパンツスーツ。
コツコツ鳴らしてる靴のヒール、これ、何センチ?
隣に立ったら俺より身長高くなってる。
カウンターに手をついて、っていうか完全に体重を乗せて寄り掛かってる所を見ればだいぶお疲れのようだ。
「おかえり。ごめん疲れてるとこ。
スペアキー出来たから指紋認証してってさ。終わったら送ってくから」
綺麗に爪の切られた手を自分の手で包み、少し冷たくなってる指先を摩るとチラッと俺を見た彼女の頬がピンクになった。
「ね?」
「・・うん。ありがとうございます・・・」
「よし!じゃあ、とっととやって休みましょうかね」
「はい」
それからすぐにカードキーは指紋認証され俺達の手に。
スペアを依頼してから1週間。
長かったと俺は思っていたけど、聞けば本来こんなに早く出来上がってくるものじゃないらしい。
それなりの家賃のここは当然セキュリティも高い。
エントランスや駐車場に入る前から家の扉まで全部で5つのセキュリティをクリアしなければ家にも入れない。
そのセキュリティの高さから住人にはそこそこのセレブもいて、それ故最初に渡される2枚のキー以外にスペアを作るとなると、渡す相手の身分証明も必要になり、審査などもあって本来は3週間程掛かるらしい。
俺達は互いにここの住人だという事もあって例外的な扱いなんだそうな。
っていうか、聞いて驚け。
俺の彼女、ここのオーナーだったんだよ。
付き合うことになったあの日、彼女が告白してくれた。
いや、優人の妹なんだから社長令嬢だってのは知ってたけど
マンションはどうやら生前相続って形で親父さんが建ててくれたらしい。
だから俺、下手したら彼女より低収入って事になり兼ねないわけよ。
それ聞いて俺、もっと仕事頑張ろうって思ったからね。
まあ、それで頑張ると結果また会えない日々が続くって訳なんだけどね?
でも
「今日からは少しは一緒にいれる時間が増えるのかな?」
エレベーターの中でそっと彼女を抱き寄せれば、抵抗なく腕の中に入ってくる。
これは・・・(笑)
「美乃莉ちゃん、もう限界なくらい眠いでしょ(笑)」
「はい・・・」
頭を俺の肩に乗せた彼女の唇が頬に当たって、更にあったかい息が触れてくる。
「俺がいる時はエレベーターで寝てもいいよ。けど、他ではナシね。すっげ
・・・って、聞いてる?(笑)
寝てるか(笑)
・完結
はた迷惑な彼女~多忙過ぎる女医とアイドルの恋愛~ 月湖 @tukiko
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