ブルース・リーは、果たして、本当に強かったのか???

立花 優

第1話 ブルース・リーは、果たして、本当に強かったのか?

皆さん、次のような話を、一度は聞いた事があるのでは?



 それは、世界的アクション・スターで、ジー・クン・ドー(截拳道)の創設者でもある、あのブルース・リーは、本当に強かったのか?との、疑問です。



 私は、かってブルース・リーの遺稿を日本語に翻訳した『魂の武器』や、『ストレート・リード』等の本を買い込み、その他ブルース・リーについて映画は勿論、彼のそっくりさん等の映画を見る等、随分、ブルース・リーについて研究しました。



 しかし、研究すればするほど、ある疑問が、ムクムクと頭をもたげてきます。亀頭ではありません。疑問がです(笑)。



 それは、先ほども述べた、「ブルース・リーは、本当に強かったのか?」との疑問です。



 私の疑問は、ブルース・リーの伝記等を詳しく読み込むと、誰でも感じる事ができます。何故なら、実に簡単な事なのですが、ブルース・リーには、ありとあらゆる大会での優勝経験が、全く、見あたら無いからです。



 せめて、何かの大会で優勝や準優勝したとかがあれば、なるほどと納得できるのですが、そのような記録は全くありません。



 今、私は、高齢の母親の介護、しかも別居中でもあり、朝・昼・晩と食事の準備や片付け、買い出しや洗濯等に忙殺されています。



 この話は、実はもっと、時間をかけて、しっかりした文献を元に語るべきでしょう。



 しかし、以上のように時間が無い私は、これまでの記憶のみで、このエッセイを書いていますので、若干の間違いはあるかも知れませんが、そこは、目を瞑って下さい。



 例えばです。大ヒットした映画『燃えよドラゴン』に出て来る敵役オハラを演じたボブ・ウオールは全米空手チャンピオンであった筈だし、『ドラゴンへの道』に出てくるチャック・ノリスは6年連続全米空手チャンピオンです。



 また、ジェット・リー(リー・リンチェイ)は、6年連続で、中国全国武術大会で優勝しています。ヨーロッパ出身の、ジャン・クローム・バンダムはヨーロッパ空手チャンピオンです。



 しかし、何度も、言いますが、ブルース・リーには、そのような、華々しい経歴は何処をどう探しても見つかりません。わずかに、香港でのチャチャチャの大会で優勝していますが、これはダンス大会で、武道の大会ではありません。



 こんな事を言えば、ジャッキー・チェンや、サモ・ハン・キンポー(映画『燃えよドラゴン』の一番冒頭に出て来る太った相手、後に映画『燃えよデブゴン』に出演します)、映画『イップ・マン』シリーズでも有名なドニー・イエンも、同じでは無いか?と言われるでしょう。


 しかし、彼らは、単純にカンフー映画俳優として見る事ができます。



 しかし、ブルース・リーは、渡米後、自身で高校卒の資格を取り、ワシントン大学の哲学科に進学。やがて、スエーデン系のアメリカ人女性と結婚し、生活費を稼ぐために、武道の道場を開きます。つまり、武道家・武術家としてスタートするのです。



 こう言う肩書きがある以上、実は、弱かったとは口が裂けても言えない筈。でも、強かった事を裏付ける証拠も、何処をどう探しても、無いのです。



 しかし、道場を開いたこの頃から、伝統的な中国武術(詠春拳がその元)に、空手・テコンドー・合気道・柔道・フイリピン棒術カリ・ボクシング・フェンシング等を取り込み、弟子に教え始めます。



 このようにして、徐々に、ジー・クン・ドー(截拳道)は出来ていきます。



 私個人の考えは、非常に単純明快で、ブルース・リーは確かに強かったと思っています。



 その一つの理由として、アメリカで武道の道場を開く場合、アメリカ人は合理主義者が多いから、現実に弱かったら生徒は多分集まらないでしょうし、腕に自信のある者なら道場破りにもやって来たでしょう。


 一応、私の記憶では、道場に入門するには、同じ道場生の紹介が必要だった筈で、また、そうそう、道場破りは来ていなかったと聞いています。



 もう一つ、ブルース・リーの創設したジー・クン・ドー(截拳道)には、「目付き」や「金的蹴り」等の実戦で使えば、確実に、相手を倒せるワザを多く取り入れています。


 映画の『燃えよドラゴン』でも、敵役オハラに向けて、金的を蹴るするシーンが出てきます。



 更に、私は、ブルース・リーの唱えた「エコノミー・ライン」に非常に、注目しています。これは、日本の空手の正拳突きのように、両足をどっしりと構えて打つのではなくて、最短でパンチが相手に届くように、体を縦に一直線にして、最短距離でパンチを打つワザです。


 日本拳法で言う、縦拳に近いですかね。



 さて、このような、空想をいくら語っていても仕方がありません。



 そこで、数年前、ヤフー智恵袋で、「ブルース・リーは、本当に強かったのか?」との質問を出しました。ID非公開で、質問しました。



 この質問には、色々な回答がありましたが、私が一つ驚いた回答に、先ほど述べた、チャック・ノリスの6年連続の全米空手チャンピオンは寸止め空手の大会だし、ジェット・リー(リー・リンチェイ)が6年連続で優勝した、中国全国武術大会は、演舞のみであって、実際の自由組み手では無いから、例えば、かってのK-1のように、本当の戦いでは無いと言う意見があった事です。



 これは、非常に面白い考え方です。


 確かに、フル・コンタクトの試合や、現在の、総合格闘技の試合とは違うので、例え、いくら全米チャンピオンであろうが、中国の全国大会で優勝しようが、いざ、戦いとなったらどうなのか?との回答でした。



 なるほどと、思いましたね。



  『燃えよドラゴン』での、冒頭のサモ・ハン・キンポーとの戦いの部分を良く見てみると、最初は、パンチの打ち合いですが、次に関節ワザで相手を投げ、最後は、寝技の「腕ひしぎ十次固め」で、タップを取っています。



 既に、映画の中ではありますが、現在の総合格闘技に近いワザを繰り出していたのです。



 肝心のブルース・リーは、既に亡くったって50年も経ちます。生きてさえいれば、もっと、確実な事が言えたのでしょうけども。



 ここで、最後の私の結論ですが、体重別のフルコンタクトの大会や、総合格闘技の大会があって、ブルース・リーがもし生きていて彼の全盛期に出場すれば、そこそこ、上位に行ったものと想像するものです。



 なお、無差別級の試合の場合は、体重が大きくものを言いますので、現在のフルコンタクトの大会や、総合格闘技の試合では、禁じ手の「目付き」等を使用しない限り、上位入賞は疑問ではありますが……。



 皆さんは、果たして、どのように思われますか?

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