最終話 エピローグ

 俺の写真だらけの部屋に少し気恥ずかしさを感じつつ、杏花の部屋でしばらく談笑した後――


 すすすっと杏花がそばに寄って来て、俺の袖口を掴んだ。


 そしてじーっと俺の顔を見つめる。


 その黒目がちな瞳はアイドル級に可愛くて、いや、俺にとってはアイドル以上に可愛くて。


 惹き込まれるように見つめ合っていると、だんだんと心拍数が上がってきて。


(うわ、やっぱり、可愛い……)


 そんな事を思っていると、くいっと杏花が俺の袖口を引っ張った。


「えっ!!」


 途端にバランスを崩して前に倒れた俺の唇に、柔らかいものが重なる。


 それは紛れもなく杏花の唇。


「大翔みんなに優しいから、捕まえてるだけじゃ不安になっちゃった」


 照れたような上目遣いが可愛くて。


「俺の彼女が可愛すぎて……つらい」


 俺の本心が漏れた。


「彼女って言われるの、嬉しい。でも……好きとか言ってくれたら……もっと、嬉しいな?」 


 ねだるように見つめてくる杏花は、やっぱり可愛くて。


「……子供の頃からずっと好きだよ。杏花」


 やっと言えた言葉と共に、ぎこちない2度目のキスをして笑い合った。




――そして10年後。


「お届け物でーす」


 俺と杏花が暮らす家に宅配便が届いた。


 差し出し人は、10年経っても杏花の親友であり、俺の友達でもある高見。

 その中には……


『あらためて、結婚おめでとう!! 結婚式の写真出来たよー!! ポスターサイズにしておいた♡ 二人の愛の巣に飾ってね♡』


 メッセージカードと共に、可愛い額に入った俺たちのウエディング写真。


「まーた、理恵ったら。ねえ、今度はどこに飾ろっか」


 飾る場所を探しながら嬉しそうな笑顔を浮かべる杏花。


 高見のおかげで、すっかり新居は俺たちの10年分の笑顔の写真で溢れている。


「ね、大翔、キスしよ?」


 高校時代、高嶺の花だった学園のアイドルは……

 今は俺の人生最愛にしてただ一人の大切な、嫁なのだ――。





―完―


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空豆 空(そらまめ くう)




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学園1絶対的アイドルの幼馴染みが、アイドルオタクの俺の部屋で突然寝てたんだけど。今、告られた気がするのは気のせいですか。 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711

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