最終話

「それじゃあ、おじファミリーの勝利を祝いましてぇ、かんぱ~にゅ!」


ドシタのコールとともに熱い歓声が鳴り響いておじの祝賀会しゅくがかいが始まった。


「おじ、私のために本当にありがとう」


おばぶは涙ぐみながら、おじに感謝の意を伝えた。


「ええんや、おばぶ。元はおじがローションなんぞ危ないものに手を出したからアカンねん」

「お? ローション屋さんは引退か?」


ハッチがおじに煽りを入れると、おじは席をすっと立ち上がり、


「おじはローションやめへんで!」


と叫んだ。おじファミリーの面々の間で笑いが起こる。

夜の風が心地よく吹き抜け、会場には笑顔と温かな空気が広がっていた。


「夜風に当たってくるで」



***



おじが店の外に出ると、外にはコスプレをした若者たちが大量に街を歩いていた。

おじはそれを見て、今日がハロウィンだということを思い出す。


「クスクス」


そんなおじの様子を群衆に紛れ眺める存在が居た。


「馬鹿な奴らづら。オマ・エラヤンに手出したら、もうまともな生活送れないづら」


幽霊のコスプレをした謎の存在は、そう言い残すと再び仮装の列に紛れ消えていった。



***



「おじ!」


店の外で黄昏たそがれているおじの元へ、おばぶがヒールを鳴らしてやってきた。

彼女は笑顔でおじに寄り添い、賑やかなハロウィンの雰囲気を楽しむように眺めていた。


「そういやおばぶ。今回の戦いが終わったら叶えたい夢があったんや」


おじは、らしくもなく興奮気味で言った。


「うん。おばぶにできることなら何でもするから言って?」

「おじと温泉旅行、行ってくれるか?」


そう、おじはずっとおばぶと温泉旅行へ行くのが夢だったのだ。


「もちろんだよ、おじ」

「やったで!」


おじは嬉しさ極まってガッツポーズをした。


「おい。二人でいちゃついてねェで、飲もうぜ」


ハッチが店から現れ、おじ達を誘った。店内を見るとテーブルの上にドシタが突っ伏している。


「いいタイミングで戻ってきたな、ハッチ。今日はお前ら帰さんで!」


夜の帳がゆっくりと降りる中、おじたちは温泉旅行への夢を抱きつつ、笑顔で語らい続けた。


END

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ローション屋のおじは半グレ相手に無双する~おじファミリーvsオマ・エラヤン~ ヌマルネコ @numaruneko

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