自由な筆運びで、生き生きと描かれた愛すべき昔話風物語。
- ★★★ Excellent!!!
やあ、婆婆の語りを聞いておいき。
とんとん、からりん。
とん、からりん。
むかあし、昔。
山に、ひとりの鬼の子がいた。
歳は、むっつ。
鬼の子なので、頭に角がある。
鬼の子は、ひとり。
おとうも、おかあも、人の手で、焼かれた。
鬼は、人から忌み嫌われるでな。
山でゴソゴソ、暮らしていた鬼の子の首根っこを、一人の武人が捕まえた。
武人は、子供を亡くして間もない。
一緒に、行くか。
どんな気まぐれだろうねぇ。
武人はそう言ったのさ。
鬼の子はまぁ、驚いた。
しかし、本当に驚くのは、これからさ。
武人と鬼の子は、旅をする。
鬼の子は、今まで知らなかった事を、たんと知る。
その時に、むっつの鬼の子が見せる顔は、あんめぇ(お前さん)、誰をも(どんな読者様も)ほうっとため息をつかせるほど、めんこいのさ。
とんとん、からりん。
とん、からりん。
鬼の子は、リィ、と言う。
※このレビューは、この作者様の語り口調とは全然違います。
この作者様の語りは、もっと丁寧で、風のすうと吹くように、心地よく、水が涼やかに流れるように、滑らかです。