この作者様の作品には、(多分)必ず冒頭に万葉集から引用した歌が示されます。
どれも物語にとってきちんと意味があるわけですが、本作は二話で完結しているせいか、その効果がとてもダイレクトに心に響きました。
三虎という男は一方の主人公と言える立ち位置で、何と言うか……がさつではないんですけれど、人間臭くて、ツンデレ……ではないか、時々小学生男子のような……うーん、いろんな側面が描かれているので一言で表現するのは難しいのです。
ただ、やる時はやる、男の中の男と言ってあげていいと思います。
そんな彼のひととなりと、古志加への思いが冒頭の、そして最後の台詞で十全に表現されていて、思わず唸ってしまいました。
しかし、それもこれも、全ては本編と言える「あらたまの恋 ぬばたまの夢 ~未玉之戀 烏玉乃夢~」を読んでこそ、味わえる感動です。
レビューしといて何ですが、まずは本編をお読みいただき、それから本作をお楽しみいただきたいと思います。