禁じられた愛、それに生きるのは罪か?

この物語は同作者の他作品とは違い、シリアスかつ息が詰まるほどの濃厚な作品である。
まず序盤、真っ向、いの一番、主人公であるソレイユが最高神の面前で罵倒されるシーンから始まる。彼が罵られている理由は、何と義妹である月の女神と離れがたき仲となったからである。何故そうなったのか、何故発覚したのか? それらは描写されないまま、一方的にソレイユは何の抵抗も出来ないままに天界から墜ちていく。
そして本編はソレイユの役割とルナリアとの出会い、三界を取り巻く情勢と謎めいた外敵の存在が事細やかに描写されていく。驚きなのは、天上神の傲慢さに怒りを抱いていたソレイユの兄が、彼を追放する際に止刀を刺したという事だ。
この物語で、特に眼を惹くのはヒロインであるルナリアの境遇である。彼女は長らく父親から引き離されて暮らしていたが、いきなり月の女神として招聘され、兄たちとの謁見もそこそこに、他の神々への紹介も無いままに、神殿に軟禁されてしまう。お世話をする部下達以外、誰も訪ねては来ない。天上神が怖いからである。そんな中、彼女は自分の神殿を警護し、世に跋扈する「外敵」を討ち払うソレイユと出会う。半分とはいえ、兄である彼に、薄倖なルナリアは徐々に惹かれていく…。