我が生涯に一片の悔い在り

現在の時刻、13時26分32秒。

現場に来てからの経過時間、4時間32分52秒。


拝啓

お父さん、お母さん。元気ですか?

僕は今さっき天使さんたちにボコボコに殴られ蹴られ、もうちょっとで首がなくなるところでした。

そして、今僕は谷底に堕ちてしまった自転車の隣に横たわっています。

もしかしたら帰れるかもしれないので、もう少しだけ待っていて下さい。

敬具


どうでもいいことだが、俺はお父さんとお母さんと友達の親の前では、「僕」と言っている。


前話では天界的な場所にいたはずだが、いつの間にか谷底にいるので、起承転結しっかりしてないぞ、との声が聞こえてきそうである。

ボボボーボ・ボーボボですか?との声もあがる希ガス。

いや、あれはもっとよくわからない類のやつだから。PTA疑問視のやつだから。

そんなことはどうでもよくて、時を遡ること2時間前のお話です。


俺は天使さんたちを説得すべく、女神様向かって走り出した。当たり前のように天使さんたちは俺を向かわせぬよう前を阻む。俺は戦闘経験など全くもって皆無であった。

それに、人を殴ったこともないのでどう拳を握ればいいのか知らない。

弓道を習ったことがないので想像でしか分からない。

銃撃経験は当たり前というか、普通ない。

竹刀に関しては持ったことや振ったこと、どう構えるか、といったことは理解もしているし経験済みだが、相手に対して当てれた試しがない。

というか、当てて怪我をさせてしまったらどうしよう、という不安が横切って当てられない。

俺はこんなモンなので、この状況を打破できるなんて考えが頭の片隅に存在していたはずもなく。

抵抗むなしくボコボコに殴られ、蹴られ、地味に矢的なものさえ刺されていた。

誰だ矢刺したやつ

もちろん矢なんてものを人生で刺されたことがなかったし、刺したこともないし、いってぇしいってぇしいってぇ。

思わず奇声をあげてしまったほど、矢とは恐ろしい。(それだけではない気がするが)

なんとか隙をついて集団リンチから抜けることは出来たが、当然の如く追ってくる。刺さった矢は抜こうと思っても結構奥まで刺さっているので、引っ張ると思うように走れず、血も噴き出てしまう。

血管が二つの意味で張り裂けてしまいそうで、涙が止まらなかった。



女神様は、あまりにも久しぶり過ぎる人との対面にかなりの戸惑いを感じてしまい、思わずパニック状態へと陥ってしまった挙句、号泣してしまったそうな。


あぁ、そうそう。この世界はギャグでもなんでもなくマジである。

その為、俺は今血だらけの状態だ。できればギャグであって欲しかった。

顔なんて腫れまくっているし、足や腕は膝を擦りむいたどころの優しい言い方では表せない程えぐれており、じんじんとした痛み(激痛)が体中を駆け巡っている。

ほんと、勘弁してくれよ。

何度も言わせてもらうが、ギャグであってほしい。

だって次のコマでは傷が治ってるから。


異世界もそこまで優しければ、地獄のようなの苦しみを味わうこともない。

なんて、一人でモノローグなんかやってても激しく後悔するだけだ。

俺は足に力を入れて立とうとした。


そう、確かに立とうとした。

だけど、もう限界だった。


意識が遠のいていく。



(ヤバいかも)

その一言を小声で言えたのが奇跡だという程に、


もう呂律が回らない。

口元が寒い。

全身も冷たくなってきた。



だんだん目が霞んでき た。











死ぬのか。ここで。




























何もないような谷底に

























たった一人









































自転車と共に





































『おい、誰か横たわってるぞ』


『おい!しっかりしろ!おい!』


『なんだこの…なんだこれ…?歯車か…?』

谷底には3人分の声が響いたが、この時の彼は気付いていなかった___。

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せっかく異世界に来たんだから自分の好きな漫画とか小説とかで培った知識をスキル化して生きていきます。 9⁸t@さん @neji9810

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