悔恨の種から、純愛の花が芽吹く。森羅万象は、膜の有無だけで決まるのか。

早く大人になりたくて、無軌道へと走っていた少女。
そのまま毒沼に落ちて、帰れなくなるケースも有る。

でも、自分を否定せずに話を聞いてくれる人がいるなら。
そこが、救われるかの分水嶺なのかも。

主人公君は聖人君子ではないし、人相応に独占欲もある。
互いに抑圧した気持ちが軋んでいっても。心の傷が日常を蝕んでも。
それでも素直な気持ちで繋がりあえるなら、きっと二人は乗り越えられる。

「処女の証を守れぬ女は、何も守れない」という俗説がある。
確かに守れずに、失ったものもある。
でもそれ以上に、得られるものもある。

俗説の真偽はこの物語の中で、読者自身がきっと、見つけられると思う。

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