失楽園
咲月 青(さづき あお)
「今日は、大きな
男が大きなバナナの葉に乗せて差し出した
「またこんなものなの。たまにはお肉が食べたいわ」
女の
男と女の乗った
男は来る日も来る日も、食料の確保や
一方、女は働きもせずに、
この島ときたら、
生まれてこの
だが女の願いも
家が完成すると、女はほぼ1日中その中で寝て過ごした。男があれこれと語りかけても、ほとんどまともな
そんな生活が半年ほど続いた頃、女の心に変化が
女は改めて、海岸にいる男を見やった。最初は
女はそれまで
「ねえ、魚というのはどうしたら
それは、男に対して女が
その日以来、女の態度は180度変わった。積極的に男の手伝いをし、料理は主に女の仕事となった。最初は
7ヶ月目のある夜、女はついに男に身を
事故から1年後、男と女は相変わらず2人きりで、
「やあ、この辺りには手付かずの木がまだたくさんあるな」
男は持ってきた
「うわあっ、あんたここで何してんのかね?」
そう叫ぶのは、
「おやまあ、あの事故に生き残りがいたとはなあ。ありゃもうとっくに全員死亡ってことで、
「やっぱりそうだったんですね……。あなたはこの島の住人ではないのですか?」
「わしゃ、ここから20キロほど行ったとこに住んどる。ここには、
「それは、ご親切にありがとうございます……」
男はそう答えながら、しばし考えを
その日の夜遅くになって、男はようやく女の待つ家へと帰ってきた。
「遅かったのね。心配したわ」
女は少し
「やあ済まなかったね。少し
「お願いだから、無理はしないでね。あなたがいなくなったら、私どうしていいかわからないわ」
女が不安げに
「でも
「あら、なあに?」
女の問いかけに、男は
「
「まあ!
女は
「なんて
女は久しぶりの肉料理を、ぺろりと
「あと
その言葉に、女は
「本当にあなたがいてくれて良かった。もし私がひとりでここに流されていたらと思うと、ぞっとするわ」
「なあに、愛する君のためならどんなことだってしてみせるよ」
男は笑顔を浮かべながら、女を
失楽園 咲月 青(さづき あお) @Sazuki_Ao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます