第3話 第一戦争拠点
「ここが拠点か。」
目の前にはさっきの美しい木々とは裏腹に、
紅い粒子で満ちた街があった。
雨は止み空は晴天というのに。
外壁には武装化が進まれ、戦いが終わった後だからか、人影がない。
街中を進んでも何もない。
奥に進むと大きな城があった。
僕がそこに入ろうとした時後方から強い流れの粒子が舞い込んできた。
僕は剣を構える。
後ろを向きよく見るとそこには武装した神のマークをつけた兵士の軍があった。
「嘘だろ。」
そいつらは攻撃体制に入り馬の速度を早める。
その時、後ろの扉が開き、魔国の兵士が現れた。
戦争が終わったとしても戦いはまだ変わらないのだろう。
僕はその戦いに巻き込まれる。
兵士達の剣がイミーからもらった布袋を破り、その中の銅貨を踏み潰し砕く。
僕は剣で一応攻撃を交わすが体への負担が異常だった。
「おら、魔国の塵ども!死ね!ここの地区はもうこの神聖国のものだ!!」
「そんな事はさせない!」
その言葉と混ざる肉が引きちぎられるその音が響く。
僕は兵士の言葉でイミーの身が怖くなった。
僕は戦場から逃げる。
ただ一身に走った。
イミー。
あいつの身は大丈夫だろうか?
さらに怖くなる。
人は誰かを助けないと、見捨ててはならないんだ。
そんな正しい事を考える。
雨がまた降り出した。
髪が濡れる。
イミーの家が見えてくる。
扉の前に兵士が多くいた。
そして、イミーの首を掴む筋肉質の男がいた。
「イミー!!!」
「イヴさん!」
その会話はそう長く続く訳はないことはわかっている。
「何だ、このゴブリン。
変に叫びやがって。あの男も誰だ?
まあ、いい。
ゴブリンの集落は全て壊滅させたのにな。
生き残りがいたとは、勇者パーティも所詮は子供だな。
これで俺の功績も上がるぞ!」
「逃げてください!!」
イミーが全力で叫ぶ。
でも、そんなことはさせない!。
「よし、第一拠点にも加勢にいくか!
じゃあ、さよならだな!!ゴブリン」
そうして,男は自分の剣を取り出した。
「やめろ!!」
そんな言葉も虚しく、男の剣はイミーの首に刺さった。
儚い血飛沫が空に舞う。
イミーの首に血飛沫が舞った。
様に見えた。
だが、それはただの見間違えである。
「おお?何だ聖騎士ども!
俺様はドナイ!
魔国を支える大黒柱的存在だあ!」
「魔国の者だ!捕えろ!!」
聖騎士が大男に剣を振り翳すが、
全て塵と化した。
「バカだな!!
俺様のスキルは俺に触れた物を粉に変えるんだ!」
そうして、聖騎士を圧倒するドナイ。
僕はその間に、イミーに話しかけた。
「大丈夫だったか?イミー。」
「大丈夫、ですよ。」
「そうか、立てるか?」
「はい。」
そうして、僕はイミーの方を支えながらドナイの方を向いた。
その頃には敵は灰色の粉となり、
消え失せていた。、
こいつは、敵なのか、仲間なのか。
その分からない空間で僕は息をする。
「おい、そこのゴブリンども!
隠れてないで早く出てこい。」
森の茂みに隠れていたが、すぐにバレていた様だ。
僕達はドナイの男の前に行く。
「俺様は、魔国の四天王、薄力のドナイだ。
まあ、もう四天王は大半死んだんだけどな。
で、この魔国の王は早くこの国を建て直したいんだ。
だから、戦力が必要なのだ。
だから、お前ら徹底的に攻撃方法を教えこんでやる。」
「はい!!」
「とりあえず、魔国の本拠地に連れて行こう、ついてこい。」
その時だった。
聖騎士の生き残りが回復魔法を使い起き上がり、イミーに向かって剣を持ち最大限の全力を振るう。
イミーから自分への位置は3m。
ドナイからは6m以上はある。
このままじゃ対応が出来ない。
「こいつだけでも、、俺は殺す!!」
聖騎士には自爆攻撃がある。
それは、人間が生んだ醜い技だ。
【特攻】と、名付けられる技。
それは、技発動から五秒間、何かしらの力を一つ選択し、常人の数倍を出す能力。
5秒過ぎた後は即死する。
奴は恐らく速さを格段にあげた。
あのドナイでも、これには反応出来ない。
「イミー!」
剣がスローモーションにイミーに向かっていく、
僕は何をすれば、僕は、ぼく、は、ぼ、く、は。
「イヴ。
特攻には弱点があってな、それは特攻の原理にある。
そもそも、特攻とは一時的に体の全てのエネルギーを魔力に変える能力だ。だが、その変えた魔力を全て体に取り込むと即死する。だから、魔力の4分の3は半径7m以内に放出される。これはどう言うことかわかるか?」
「わかってるさ、ダイア。その魔力を何かしらの物に吸収させれば特攻を超える倍の攻撃が放てるんだろ?」
「そう。簡単に言えば【好機】だ。」
【魔力吸収】
この禍々しい剣に僕の周りの魔力を入れ込む。
誰の記憶かはわからないが、それでいい。
このままでいいんだ。
この発動は、何かしらの音を鳴らすこと、
その音の波は精密で発動することは難しい。
だが、指鳴らしはちょうどいい波長になっている。
だから、指を鳴らした。
「行け!!」
僕は全力で聖騎士に、この剣を投げた。
その投げた時の速さは異常であり、
フレームレート120だったとしたら、その0.1フレームにすら映らないような出来事のようだ。
剣が聖騎士の胸に飛ぶ。
だが、防具のせいで直ぐに刺さらない。
しかし、そんなもので収まる力じゃなかった。
僕の剣は回転し、聖騎士の胸を貫通する。
そして、その剣はもちろん、不規則な回転を体の中で起こし、僕の手に飛んでくる。
聖騎士は倒れた。
僕にたくさんの血飛沫が飛ぶ。
「ああ、」
息が溢れるほど、僕は安堵した。
英雄の断罪:Alt 小説狸 @Bokeo
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