男たちの昼下がり

たんぜべ なた。

週末の防波堤

 早朝から男二人がサビキ釣りを楽しんで…いる。

 ここは小さな漁港の入口となる防波堤。


「はぁ~~、釣れないねぇ。」

「釣れないなぁ。」


 防波堤の隙間からは、フジツボが揃って穴から見ている。


 穏やかな天気の上に、凪いだ海は秋空にこそ似付かわしい。

『…洗濯物がよく乾くでしょう。』

 ラジオの気象予報も快晴を担保してくれている。


 サビキかごの餌は程よく無くなるが、小アジはおろかベラも掛からない。


 そんなこんなで空を見上げれば、お陽様は中天にお登りになっている。


「昼飯にするか…。」

「ですねぇ~。」


 おもむろに弁当袋を引っ張り出してくる二人。


 向かって右側の男が、ラップの貼られたお皿を取り出す。

「へっへっへぇ~。

 今月のラッキー飯 戻り鰹のタタキ!」

 ドヤ顔でお弁当?を見せびらかす右側男。


 すると、左側の男は両手持ちのアルミ鍋を引っ張り出してきた。

「オレは、昨日のだよぉ~ん。」


 残り物という割には、妙にぎっちりと具がひしめき合っているアルミ鍋。

 そして、脇には缶ビールが控えている。


「「かんぱぁ~~い!」」

 缶ビールの蓋を開き、持ち寄ったおかずをつつき始める男たち。


「はんぺんが羨ましくて仕方がないのですぅ!」

 右側男が箸を突っ込めば


「三角野郎が出張ってきたぞ!」

 茶々を入れながら、左側男も箸を突っ込む


「とんだこんにゃくヤローだな……」

 はんぺんを弾かれ、こんにゃくを掴まされた右側男はご機嫌斜め。

 してやったりの左側男は上機嫌。


 楽しい昼食のひと時を済ませる男たち。

 昼飯のあと、ついまぶたが重くなってしまう。

 アルコールも入ってしまえば、もはや抗う術は無し!


「そろそろ納竿しようか?」

 赤ら顔の右側男


「そうだな、我々はに来たわけではなく、屋外でに来たのだからね。」

 こちらも出来上がっている左側男


「この風景を楽しみ

 余暇を楽しみ

 そして、味覚も堪能出来たんだ。

 いっそ、思い出話の種にしたらいい。」

 そう言って右側男は防波堤に寝転がった。


「週末に映画でも見るか?

 オレたちのような道楽を地で行く映画でも。」

 同じように防波堤に寝転がった左側男。


 しかし、返事は戻ること無く、二人はイビキをかいて昼寝を始めるのだった。


 ----------------------------


 というわけで、蜂蜜ひみつさんの企画に乗っかり、最後の一踊りをさせて頂きました。


【『参考文献

  蜂蜜ひみつ

  てんとれないうらない


 第34話 昼飯のあと ついまぶたが重くなってしまう 4点

 第35話 週末に映画でも見るか 7点

 第38話 とんだこんにゃくヤローだな…… 1点

 第58話 洗濯物が よく乾くでしょう 8点

 第59話 フジツボが 揃って 穴から 見ている 2点

 第67話 はんぺんが 羨ましくて 仕方がないのです 4点

 第70話 今月のラッキー飯 戻り鰹のタタキ! 9点

 第72話 三角野郎が 出張ってきたぞ 3点

 第74話 いっそ 思い出話の 種にしたらいい  4点


 作者了承済み』】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男たちの昼下がり たんぜべ なた。 @nabedon2022

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説