これは彼女――鉄仮面が残したという戦記である(精確には覚書)。されどその彼女――鉄仮面もまた、突き放して描かれることが多く、さながら登場人物の如き描写であり、それこそが「第一級史料の設定」を帯びる理由かと存じます。
随所にみられる「注解」もまた、客観性を帯びさせるファクターであり、これこそが読む者をして「史書」と思わせるギミックで、読んでいると、あたかも史学者のような気分になります。
――このような面白いスタイルで書かれたこの戦記が、このたび完結いたしました。
今こそ、通しで読んでみてはいかがでしょうか。