巧妙な迷宮救出モノ、と同時に「人の心の罪深さ」を学ばせてくれる良作

人間味の強いキャラクターや、良く組み立てられたストーリーで、何本も泣いたり笑ったり、楽しませて頂いている、プロのノベルゲームライター様の地下迷宮モノです。

元は「迷宮保険」という、600話を超える長編作品の主人公である美少女「エバ・ライスライト」の、数年後の戦いを扱ったスピンオフ小説、2作目となります。

この女主人公、運悪く迷宮で死亡してしまった契約者を、単身で回収し、その場で蘇生をこなす「迷宮保険屋」なのですが、この2回目の救助対象者のリーダーが、俺様思考の困ったちゃんで、想定外のトラブルを起こしてしまう~という。

そのリーダーを、ただの「ざまぁ」と笑うのではなく「どういう心の闇を背負って生きて来たか」をとても丁寧に描いてくれていて、ある場面では「可哀想に…」と、同情すらしてしまうほど、そのキャラに引き込まれたりします。

職場で働いていて目に付く「優秀だけど自分中心で困らせた挙句、居なくなる」タイプの人が、どういう結末を迎えるのかを「ざまぁ」ではなく「あぁ…」という気持ちで読ませてくれる、残酷だけれど人情味を感じる…そんな作品です。

地下迷宮ゲーム「ウィザードリィ」がお好きな人は、より楽しめると思います。

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