とびきりのファイティングポーズで別れ話を

君足巳足@kimiterary

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見てしまった。女と腕を絡めてラブホから出てくる彼氏を。なぜかその場から逃げ出してしまったけど、でもわたし、ほんとは怒らなきゃだった。そう気付いたのが今で、だから、気付いたから、駅のホームのベンチで真っ白に燃え尽きていたわたしは一時間も垂れ続けていた頭を上げる。眼の前を通過列車が通り過ぎて、直後、わたしの目に広告看板の文字が飛び込んでくる。



『名取ボクシングジム、会員募集!!』

『ダイエット、ストレス解消にも!!』



わたしは立ち上がって、すぐ走りだしている。入場を取り消して改札を出る。そしてまっすぐ、ジムの扉を叩く。もうすっかり決意している。きっとわたし、とびきりのファイティングポーズで別れ話をする。 

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