幻想を彷徨う魂への寓話

ジャックの話を知っているかい?
南瓜のランタンに火を灯し、天国と
地獄の間を永遠に行き来する。
 そんな男の譚を。
この、あまりにも美しい物語りは、
闇の中を彷徨う鬼火のようだ。
茫と灯っては揺れ、未来永劫を
彷徨う。
 道に迷う魂への声掛けはとても
優しく響く。但し、道先案内は
するが行く道筋を示す事はない。
彼自身が迷いの中に在るがゆえに。

 鬼火の彼は未来永劫を彷徨い
続ける。彼の辿る軌跡は幻想の中。

そこには達観と諦念とが静かに
横たわるだけで。