第6話 貴族の嘆き

「新しい法律が国会で可決されたことを聞いた?私、どうしてもその決定を理解できないわ。そういう法律の存在でこれからマコスドに行って商いを行う異郷人が減っていくでしょう?これはマコスドの経済増長に支障をきたすのではないか?」

手に質のいい湯のみを握っていて、吞気にお茶を飲みながら、政治に関することに自分の主張を出している女の子。

室内の温度がちょうどいい。いつのまにか眠るかもしれない。火炉の中でカンカンと燃えている炭が放った熱は部屋を満たした。その時、お茶一杯飲んだら、これは最高の享受でなくて何だろう?

向こう側に座っている男は軽く頷いて話を切り出した。

「雪子の言ったことには確かに一理があるが、でも、その法律が設定される動機や目的をさらに深く掘り下げれば、僕たち自身に危険をもたらす可能性が大きい。だから、偶にそんなことに見殺しの態度を取るのはむしろいい選択だ。」

男の顔には少し不安が浮かべた。自分の妹が政治上のことに過度に関心を寄せさせないように勧告をしたわけだ。

「そんなこと言わなくても分かる!お兄ちゃん!そいえば、明日公演予定の舞台劇を一緒に見に行かない?とても待ち遠しい舞台劇だから、なんにしても見に行こうと思う。そうだ!今回はその劇で主役として出演した人気の高い俳優ドレフと面に向かって交流する機会もあるという!」

「さっきはドレフという名前を言ったっけ?本当ですか?」

まるで何か驚かしい話を聞いたかのように妹の雪子にもう一度その事実を確認した。

「うん!それは当然!私にはお兄ちゃんをだます必要が全然ないわ。でも、おかしいなあーお兄ちゃん。お兄ちゃんは平日、私の前では敬語を使わないわ。だが、お兄ちゃんがもし何か好奇心をそそった内容を聞いたら、その場合には思わず敬語を使うことになるよ。どうだろう?妹としての鋭い観察力!褒めてくれても構わないよ。」

男は今やさっき言った話の異様に気づいた。すぐに上気した。

「そんなことないよ!僕はそんな俳優に興味を持っているわけがない!いい加減にしろ、雪子!」

でも、弁えても積極的な効果がない。かえって妹を笑わせることになった。

「お兄ちゃんは可愛いよ。それほど行きたいのなら、明日午後の六時、マコスドの中央劇場に直接に行けば結構だ。私はその前用事があるから、お兄ちゃん先に言ってもいいよ。入場券はこれ!ちゃんと保管してください!」

話が終わると、女の子は入場券を一枚その男に手渡した。

「うん、ありがとう、雪子!」

その男は満足な顔をして、妹の頭に軽く撫でた。

「おい、お兄ちゃん、やめてくださいよ、君にそうやられたら、私は。。。。」

顔が真っ赤になった少女。

「お兄ちゃんが自分の恋人になった錯覚?ハハハ!雪子はなぜそんな思いがあるのか?」

男は大笑いをしていて、その中には嘲笑の意味も含まれるようだ。

「では、ちょっと失礼。」

男はその場を去った。部屋には恥ずかしい顔をして呆れた少女一人だけがいる。

十年前、マコスドのある所、対峙している二人

「ドレフ!お前はなぜカメレオン組織を裏切った?!答え!答えなければ殺すぞ!」

ドレフは口をつぐむ。

「ならば、代償として、地獄に行く覚悟をしろ!」

幸夫はピストルを撃った。

でも、弾丸がドレフの後ろの壁に命中した。

「僕の視線から早く離れ、二度と会えば、容赦する余地がない!早く逃げろ、まだ組織の他の人がここに来ないうち!」

「また会うのよ。その時、君は私のした一切のことを理解できることになると信じる、幸夫。さよなら」

ドレフはその場から逃走した。

「おい幸夫!裏切り者が捕まったか?それとも逃走したか?」

幸夫が立っているところに来た二つのカメレオン組織のメンバー。

「すみません、僕のせいで、ドレフを逃げさせてしまいました」

話が終わると、幸夫は指でまだ壁の中に嵌った弾丸を指した。

「しょうがないね。しばらく本部に帰って状況を報告してください、幸夫」

「了解しました。では、先に失礼します」

その場から去った幸夫。

十年後

「本当に君の言った通りだ。僕は来るよ、ドレフ!」

拳銃に弾丸を装填している幸夫。

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練香士 オアク @Nanaky

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