本人にとってはハッピーエンド。ヒロインは・・・

まず、この作品は種族の違いを題材にした悲恋物語です。男主人公の方は当代の魔王で、ヒロインは勇者の血族であります。二人は学友として共にいましたが、ある日、ふとした事件から魔王の正体が発覚します。そして武器を取って交戦する二人、しかし魔王は明らかに実力差が開いているヒロインを殺さず、むしろ弄びます。
ヒロインは必死で、どうして魔王にあんな事件を起こしたのか問いただしますが、実は魔王側にも事情があり、そしてそれは儚く辛いもの・・・愛する者を奪った者への復讐代行、そして自分の独占欲を満たすためのものでした。一途に見える狂った愛、妄執とも言えましょう。
しかしヒロインもヒロインで、魔王を一辺倒に憎んでいるわけではなく、己の使命と愛の間で揺れ動きます。そして刃を振り下ろせずに最後は――
こういったハッピーともバッドとも取れるエンディングは個人的に一番好きです。