第9話屁垂れ女
日曜日の午後、竹内あゆみと内田友美はカフェにいた。
会社の話しをしていて、
「ねぇねぇ、それより聴いてよ、友美ちゃん」
「うん、ちゃんと聴いてるよ」
「私、やらかした」
「何を」
「例の王子様の前で」
「また、職務質問されたの」
竹内はクビを横に振る。
「じゃ、また、夜中にキャミソール姿になったの?」
また、竹内はクビを横に振る。
「どうしたの?」
「王子様の至近距離で、オナラしちゃった!」
「ブッ!アッハッハッハッハ」
「笑わないでよ、友美ちゃん。親友でしょ?アドバイスちょうだいよ〜」
友美は笑いを堪えて、
「誤魔化せなかったの?」
「うん。客は私だけで、しかも臭かった」
「ブッ!」
「嫌われたかな?これから、何をしても屁垂れ女の烙印は消えないだろうし」
「大丈夫、大丈夫。あゆみちゃんは、下品な女として堂々と、王子様と接すればいいよ」
「なによ!下品な女って」
「だって、屁垂れでしょ?アハハハハ」
「もう、ちゃんと聴いてよ!」
ブリッ!
「もう、あゆみちゃん。お店でオナラしないでよ!」
「私じゃ無いわよ!友美ちゃんじゃないの?」
「私がする訳ないじゃん」
後ろから聴こえた。
2人が振り向くと、スマホの画面をジッと見ている40代の太ったオッサンがいた。
いた!コイツが犯人だ!
「や〜ね〜、オッサンって。オナラしても平気なんだから。ここは、オッサンちじゃ無いのに。……うわっ、くっさ」
「友美ちゃん、私もそう思われたのかなぁ?」
「十中八九」
「うわぁ〜、アクシデントだったのよ。しかも、不幸な。自分のオナラに、私自身が驚いちゃって……」
「今から、コンビニ行こうよ!」
竹内は固まった。
「ほら、早く。あゆみちゃん」
2人はコンビニで、カフェでコーヒー飲んだのに、ペットボトルのお茶を持ち、レジに並んだ。
レジには、王子様は居なかった。
ホッとした、あゆみは疲れているのであくびをしていたら、バッグヤードから王子様の新田が現れた。
「こんにちは、竹内さん」
「!!」
「竹内さん、大丈夫?この前も薄着だったけど」
「う、うん。元気だよ」
「今日は、棚卸しだから。また、明日以降、話しかけますね」
竹内が返事しようとしたら、
「この前、うちのあゆみが屁を垂れてすいません」
と、友美が謝った。
「屁を……誰がです?」
「この、バカ娘ですが」
「竹内さんは、薄着して靴紐を結び直すと、無言で帰りましたよ。僕は機嫌が悪いのか?と、思っていました」
「じ、じゃ、新田さん。また、今度。お疲れ様です」
竹内は内心、飛び跳ねて喜んでいた。
やったー、私の屁に気付いていない!
神様って、いるのね。ロマンスの神様って。
コンビニ恋愛 羽弦トリス @September-0919
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