第57話 クラン戦、大将。そして終りの始まり

 アイとみるふぃーゆが向かい合う。


『用意は良いですか。始め!』


「【投擲】【投擲】【投擲】【投擲】【投擲】」


 アイは投擲を乱発。

 投げたのは爆弾。

 みるふぃーゆの手下のモンスターは全部死んだ。

 みるふぃーゆは爆弾を鞭で弾いて事なきを得てる。


「よくもやってくれたわね。【鞭術、千本波】」


「【投擲】【投擲】」


 アイは毒ガス爆弾と、電撃爆弾を使った。

 毒ガスがみるふぃーゆの周りに満ちる。

 そして電撃爆弾をムチで弾いたみるふぃーゆはムチから電撃が伝わってスタンした。


「【投擲】【投擲】【投擲】【投擲】【投擲】」


 ここぞとばかりにアイが爆弾を投擲する。

 みるふぃーゆは爆発に包まれ死んだ。


『アイの勝利。クラン戦は1勝1敗1分けで引き分けとなります』


 良かった引き分けに持ち込めた。

 俺が作った魔道具を使ったアイは最強だな。


「やったよ。えへん。褒めて褒めて」

「アイ、仇を討ってくれてありがと」

「仕切り直しよ。今度こそ引き分けじゃなくて勝つわ」


「なかなかやるね。だが、僕達の負けじゃない。そっちの手の内は分かった。もう一度、勝負だ」


 †翔†がやって来て、そんなことを言った。

 情報戦としてはこっちが不利か。


「みんな、俺に任せてくれないか」

「そんなことをしたら正体がばれるわよ」


 向日葵はそんなことを気にしてたのか。

 俺はもう、正体を隠さなくても良いような気がしてる。

 だって、魔道具売りで十分にやっているから、討伐は息抜きで良いと思ってる。

 戦いで人に迷惑を掛けることはしない。


「もう、良いんだよ。俺は魔道具職人としてトッププレイヤーを目指すことに決めたから」

「あなたがそう言うのなら」

「命は預けた」

「同じく」


 よし、賛同も得られたし。


「次のクラン戦は、俺とショーケースの全員だ」

「何だって。僕を馬鹿にしてるのか」

「プレイヤーのタグを見てみろ」

「バーテックス、お前がチート野郎のバーテックスだったのか」

「おう、受けるか。受けないならお前のクラン全員をPKしてやる。こっちは正体晒して覚悟を決めたんだ」

「いいさ、受けてやる。だが、このクラン戦でのアイテムの使用は禁止だ」

「構わない」


 †翔†はメッセージを飛ばし始めた。

 クランメンバーを集めているらしい。


 ほどなくして、ショーケース側のメンバーが集まった。


「さてやろうか」

「くっ、チート野郎だって、この人数がいれば」


『クラン戦を行います。ルールはアイテム使用禁止の死亡が決着となります。賭ける物は天辺が、向日葵、ローリン、アイの移籍。ショーケースが参加プレイヤーの固有武器。これでよろしいですか?』


 承諾のタッチをする。


『用意は良いですか。始め!』


「【Pythonパイソン 無限火球.py】」

「うわぁ」

「くっ、ひるむな」

「なんとしても一撃を加えろ」

「散開しろ」


Pythonパイソン 自動攻撃.py】


「なんなんだよ」

「弾幕が」

「くそう。壁を作れ」


 無駄だよ。

 無限に攻撃するのに壁が耐えられるわけない。


 ほどなくして、立っているのは俺だけになった。


『バーテックスの勝利。クラン戦は天辺の勝ちとなりました』


 山と積まれた、固有武器をただ眺める。

 固有武器は光になって消えていった。


 3人から歓声が上がる。

 ああ、色々と終わったな。

 一区切りがついた。


『バーテックスのPythonパイソンスキルの吸魔魔法使用を無効化します』


 おお、遂に規制が入ったか。

 これで無限攻撃は出来ない。

 俺も普通のプレイヤーって事だ。


 換金した金額の累計を出した。

 おお、1ヶ月で10万円を超えた。

 そうだよな。

 色々と作ったもの。

 家賃を払ってなんとか食っていけるレベルになった。


 これからも魔道具は作り続けるから、もっと稼げるようになるだろう。


「嬉しそうね」

「ああ、クラン戦にも勝てたし、遂にゲームの金で食っていけるようになった。プロゲーマーと言っても良い」

「おめでとう」


「バーテックスがプロゲーマーか。私も負けてられない。回転斬りでトップを取る」

「私、爆弾魔道具があれば、かなりチートな気がするんです」

「もう無限拘束は使えないから、ボスマラソンはできないけどな。ボスを討伐して魔石をもってくれば作ってやるよ」


 これからも俺の魔道具職人としてのゲーム人生は続いて行く。

 チートにさよならだが、今の状態でもPythonパイソンスキルはチートだ。


「向日葵、話がある。俺と付き合ってくれないか」

「はい、喜んで」

「これは断ってくれてもいい。リアルでも付き合いたい」

「もちろん良いわ」


「ぴゅーぴゅー、お暑いね」

「いつの間に、気づきませんでした」


 向日葵に愛想を尽かされないためにも頑張ろう。

――――――――――――――――――――――――

 これにて完結です。

 お付き合い頂きありがとうございました。

 気が向けば続編を書くかも知れません。

 今は休みたいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

会社を首になった男、VRMMOの初期ボーナスで当たりスキルを引き当てる 喰寝丸太 @455834

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画