第56話 クラン戦、中堅

 ドクロが観客席から修練に降りてきた。

 相手の中堅はドクロ。


 ドクロの被り物を被っていて大鎌を持っているから分かり易い。

 服はボロボロの黒衣だ。

 死神ルックのつもりだろう。


 大鎌使いで、鎌術を使うのは分かってる。

 それと斬撃スキル。

 あと一つもたぶん近接戦闘系だろう。

 切り刻むのが好きだとマクスダクトの情報にあった。

 こいつとローリンを組み合わせればこっちが勝てたかも知れない。

 完全に俺の作戦ミスだ。


 向日葵は、調薬で毒も使う。

 相手がローリンみたいな猪突猛進タイプなら容易いだろう。


 向日葵とドクロが対峙する。


『用意は良いですか。始め!』


 戦いが始まった。


「【われは内包する、魔法規則。水槍生成の命令をレベル30の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを飛ばせ。水槍投擲】」

「【斬撃】」


 水槍は大鎌によって切り裂かれた。

 くっ、悪い出だしだ。

 負けている感じがする。


 相手のヒットポイントが何もしなくても減った。

 ああ、毒薬を水槍に混ぜたのか。

 アイテムの使用は禁止されてないので、自分で作った毒を使ったのだろう。

 斬り裂いた時に毒が顔に掛かったみたいだ。


 初手は勝ちか。


「【われは内包する、魔法規則。水槍生成の命令をレベル30の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを飛ばせ。水槍投擲】」

「【鎌術、風車】」


 ドクロが鎌をクルクル回して盾にしながら進む。

 今度は毒に掛からなかった。

 距離を詰められると厄介だぞ。


「【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にいる者の頭。水生成の命令をレベル30の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものでかの者を包め。水生成】」

「【鎌術、……、もがもが」


 ドクロの頭は水球に包まれた。

 声を出せないとスキルが封じられる。

 初歩のテクニックだ。


 ドクロが鎌を振るう。


「【杖術、朧月】」


 向日葵がいなしをする。

 だが、少しダメージを食らった。


 この展開が続き、両者のHPは同時になくなった。


『この勝負、引き分け』


 引き分けか。

 これで俺達の勝ち目はなくなった。

 アイは絶対に勝たないといけない。


「ごめん、負けちゃった」

「まだ負けではない。アイ、頼むぞ」

「任せて」


 こうなったら、出し惜しみなしだ。

 爆弾の魔法は前に作った。

 それを改良して。


while 1:

  print("【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にいる敵。かの者と接触したら、毒霧生成の命令をレベル1の毒魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを生成しろ。毒霧魔法】")


 毒爆弾だ。


while 1:

  print("【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にいる敵。かの者と接触したら、水生成の命令をレベル1の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものでかの者を包め。水生成】")


 水で包む魔道具だ。

 向日葵がやった奴。


while 1:

  print("【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にいる敵。かの者と接触したら、電撃生成の命令をレベル1の電撃魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを生成しろ。電撃魔法】")


 電撃爆弾。

 電撃はスタン(麻痺)するので、これはこれで使い勝手が良い。


 それらの魔道具をたくさん作ってアイに手渡す。


「これさえあれば、勝てる」


 アイが闘技場に降りていくと、みるふぃーゆはモンスターをぞろぞろ連れて闘技場に降りた。

 色々といるな。

 オーガにレイス、レッサーグリフォン、プチドラゴン、どれもそれなりに強そうだ。


 アイとみるふぃーゆが何か喋ってる。

 どんな話かここからは聞き取れない。


 みるふぃーゆの恰好は、ボンテージに身を包んでる。

 武器はムチだ。


 射程という面では、アイの方に分がある。

 ただ、ムチという武器は手強いんだよな。

 ゲームでは衝撃波が生まれて爆発とか起こす。

 まあ、先端を見切れば良いんだけど、これはプレイヤースキルが影響する。


 アイの俊足で攪乱できれば良いのだが。

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