第13話


 そして迎えた明日。

 学校に着くと、いつものように麗羅が揶揄ってくる。


「涼風と付き合うことになったんだって? 別れたほうがいいよ」


「なんでそんなこと、言うんだよ」


 ――麗羅は俺のことが好きだからだ。けど俺はその気持ちに気づかない。


「長く続かないと思う」


 そんなの、分からないだろ。お前に言われる筋合いは無い。



 授業が終わり、放課後。

 俺は図書室に行く。既に図書室では涼風さんが待っていた。


「お待たせ」


 そう言うと涼風さんはニコリと微笑む。そして、「ここに座って」と隣の席をトントン、と叩く。俺はそこに座る。


 涼風さんは何かを手に持っている。手作りの栞だろうか。何とも綺麗だ。


「これ、あげる」


「えっ、いいのか!?」


「恋人の証。私も同じの、持ってるの」


 その栞は青色の栞で、黄色い星型のワンポイントもついている。


「これは手作りか?」


「うん、手作り」


 こんな素敵な物を俺が貰うのは、勿体無い。恋人記念に手作りの栞をくれるなんて、涼風さんは何て優しいんだ……!


「ありがとな」


「それで話って何だ?」


「栞、大切に使ってね。本、好きなんでしょ?」


「ああ、好きだ。……って、その話じゃないだろ?」


 涼風さんがボケるとは……。驚いた。


 彼女はコホン、と咳払いした後、こう告げた。


「藤崎さんはいいの?」


 藤崎さんとは麗羅のことだ。


「――え」


 何故そんなことを聞いてくるのだろう。


「俺は涼風さんのことが好きだ。だから、麗羅はいい」


「勿論、私と付き合ってくれてるのは嬉しいよ。でも、藤崎さんじゃなくて、私なんかでいいのかなって」


 それは暗に彼女が俺に恋愛感情を抱いていない表れだった。


「……」

「いいんだ、それでも」


「分かった」


 夕陽が射し込み、涼風さんがより美しく見える。そっか……片思いか……。


 ふと浮かんだ疑問を涼風さんにぶつける。


「何で告白を了承したんだ?」


「それは、他に好きな人がいないから」


 最もらしい理由だ。何故か腑に落ちてしまった。


「もう少しだけ、このままでいさせて」


 彼女は俺の肩に頭を乗せて、目を瞑る。

 自然と俺の瞼も閉じていった。


 俺の涼風さんへの思いは片思いだった。




           〈番外編 Fin〉



*あとがき

ここで番外編もENDです。バッドエンドでごめんなさい。それに伴い12話少しだけ弄りました。

本当にここまで読んで下さり、ありがとうございます。実はカクヨムコン用の長編を書いており、それがスランプ中だったので、この作品で沢山の評価を頂いたことで、自信に繋がりました。読者様のお陰で楽しく執筆出来ました。コメントして頂いた方もありがとうございました。褒めて頂き、嬉しかったです。

もし良ければ、星評価して頂けると嬉しいです。

別の作品でご縁があれば、その時はよろしくお願いします。本当にありがとうございました。それでは。








 


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好きな人に『好き』と送るはずが、嫌いな女子に『好き』と送ってしまった 友宮 雲架 @sss_469m

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