てなわけで、ぶっちゃけて言います。


 農業って、やり方次第でめちゃくちゃ儲かりますよ。


 俗にいう3K(きつい、きたない、金にならない)なんて言いますが、あんなのは嘘っぱちです。


 前2つについては異論ありませんが、“金にならない”わけではありません。


 機械導入による近代化と省力化、新品種や新薬、あるいは新農法を積極的に取り入れていけば、以前とは比べ物にならないほどの収量を得る事が出来ます。


 儲からないと嘆いているのは、そうした時代の変化、やり方の変化に付いて来れなかった“お年寄り”の方々なのです。


 自分が働ける年数も限られていますし、機械に投資するのも及び腰なのも分かりますが、それでは収量が伸びません。


 果敢に戦える若い力が必要なのです。


 つまり、世代交代ができていれば、農業の抱えている問題はある程度は解消されるという事です。


 逆に言うと、新規参入や後継がなければ、確実に消えゆく状態であるとも言えます。


 実際、ひと昔前のやり方を続けておられる年配の白ねぎ農家は、今一つ収量が上がっていません。


 幸い、自分のいる地区は若返りが進み、30代、40代の農家が増えてきていて、世代交代に成功した場所でもあります。


 もう一度言いますが、人間は食べなければ生きてはいけません。


 ゆえに、他のどの職業がAIなどで消えていっても、農業だけは絶対に残ります。


 機械化はできても“自動化”は、まだまだ不可能な段階です。


 繊細な機械では、まだ泥だらけの中を作業するのも、畑の癖や急変した天候の対応などができないからです。


 まあ、完全自動化にできるのであればそれもまたよいのでしょうが、今の技術ではまだまだダメです。


 だからこそ、後身の教育には力を入れていきたいと、新人を卒業したばかりの自分も強く感じています。


 その想いが叶ったのが、今日の課外授業と言うわけです。


 あの学童の中から、一人でも農業を志す子が出てくれれば、こちらとしても何も言う事はありません。


 実際、授業が終わってからも話しかけてくる子がいて、講演の仕事を受けてよかったと心より思いました。


 そういう事で皆さん、あなたも農業、やってみませんか?


 ここに脱サラ農家に転身して、6年目でン千万稼いでいる奴もいますよ?


 もちろん、全員が全員成功するとは限りませんが、成功例があるのもまた事実です。


 荒廃した国土を子や孫の世代に残さないためにも、色々とやれるだけのことをやってみましょう。



「人事を尽くして天命を待つ」



 今日の講演で子供達に強く言った言葉です。


 人の手でやれるだけの事はやり、あとは天の配剤を待ちましょう、と。


 しかし、人の手と言う“努力”を挟まねば、天のお沙汰を待つ資格すらありません。


 努力が全て報われるとは限りませんが、成功するには努力が必要です。


 自分も稼げるようになるまで、大いに努力したと自負しています。


 それが実り、機嫌の良さは預金残高と共に上昇し、テレビ、新聞、雑誌の依頼も舞い込むようになりました。


 これも努力の結果です。


 だから、夢や希望に向かって努力をしようと、白ねぎを掲げて力説しました。


 子供のいない身としては、今日語った子供達が白ねぎのように真っ直ぐ大きく伸びていくことを願うばかりです。


 また来てくださいと、先生に言われましたので、頼まれればもちろん行きますとも。


 こうして人の意志は綿々と受け継がれていくのですから。


 その歯車の一つに成れる事を、今日は噛み締めて満足しています。


 自分が白ねぎと共に頑張っていけるのも、子供達の笑顔と、数字がマシマシの預金通帳のおかげですね。


そして、41歳白ねぎ農家は、明日もまた畑を走り回るのです。



                ~ 終 ~

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41歳白ねぎ農家は小学生と戯れる 夢神 蒼茫 @neginegigunsou

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